ロザンゼルス出身の日系アメリカ人彫刻家、シンキチ・タジリ(1923〜2009)は、真珠湾攻撃をきっかけに始まった強制収容所での生活、前線での戦闘への参加、そして戦後はパリやオランダを拠点に活躍し、数多くの作品を残した。
本展では、自身のトラウマ体験や社会政治的な不義といった要素が反映された2つの代表的な彫刻シリーズ、「ウォーリアー <戦士> 」と「ノット <結び目> 」を紹介する。 結び目> 戦士>
「ウォーリアー <戦士> 」は、武士や浪人など、様々な戦士という存在への作家の深い興味から制作されたシリーズ。戦国時代の甲冑や近代兵器、漫画などからの影響を受けつつ、強さ、暴力、あるいは、護りや脆弱さといった逆説的な要素の共存が暗示されている。タジリはこのシリーズについて、「戦争の恐怖から自分の身を洗い清めることの必要性を表現している」と語っている。 戦士>
また「ノット <結び目> 」は、平和的な融和と現実の複雑さという矛盾をミニマルに表現したシリーズ。紙で作られた小型の繊細なレリーフ作品から、記念碑のような大型の野外彫刻作品まで様々な規模で制作され、オランダ各地やロサンゼルスといった世界各地で展示されてきた。 結び目>
タジリの日本での個展は、50年以上ぶり。流浪の歴史を経たタジリの作品が、ルーツである日本へ没後の凱旋を果たす。