武蔵野美術大学が運営するgallery αMでは、毎年ゲストキュレーターを招いて企画展シリーズを開催。今年はDIC川村記念美術館学芸員の光田ゆりをキュレーターに迎え、「鏡と穴―彫刻と写真の界面」というタイトルのもと、現代写真と彫刻のありかたを考える展示を行っている。
高木こずえ、澤田育久に続く第三弾となる今回は、1983年京都府生まれのアーティスト・水木塁を取り上げる。水木は、Photoshopによる加工やプロジェクターによる写真の投影などの手法を用いながら、サブカルチャーやストリートカルチャーの視点から芸術の制度を問い直すような作品を発表している。
本展では、曲げられたアルミ板の片方の面に写真を焼き付け、もう一方の面を鏡面に仕上げた写真彫刻を展開する。写真画像は、スケートボーダーが練習に使う箱状の足場と地面を撮影しつなぎ合わせてつくり出されたもの。カーブを描く競技場を疾駆するスケートボーダーの視界のように、水平垂直のフレームから解き放たれた作品は、写真と身体性の新たな可能性を見せてくれるだろう。