2017.6.11

世界の不条理に立ち向かう。
播磨みどり「Year Without a Summer」展

既存のメディアの断片をつなぎ合わせ、作品を制作する播磨みどりがMAHO KUBOTA GALLERYで新作の個展を開催。会期は6月30日〜8月5日。

Year Without a Summer(スニーカー、吸盤、ペットボトルキャップ) 2017 ミクストメディア インスタレーション、サイズ可変
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 播磨みどりは1976年横浜生まれ。2000年に女子美術大学芸術学部絵画科版画コースを卒業し、05年よりニューヨークに在住。雑誌や新聞など既存のメディアからのイメージをコピーし、張子状に組み合わせて作品を制作している。

Year Without a Summer(子供用バッグ、ぬいぐるみ、帽子) 2017 ミクストメディア インスタレーション、サイズ可変

 今回の個展のタイトルである「Year Without a Summer」とは、1816年に北ヨーロッパや北米で起こった、夏のない異常気象の年のこと。その原因は、前年に遠く離れたインドネシアで起きた火山噴火だと言われている。すなわち、この言葉は、地図上のひとつの地点で起きたある出来事が、間接的に遠く離れた場所に影響をもたらすという不条理を意味している。播磨は、個人はその不条理で大きな力の一部であると考え、その事実を起点として「未だ答えが見つからない問い」を浮かび上がらせる。

 今回の新作は、播磨が資本主義経済や消費の問題への興味から、2016年の夏に訪れたポーランドでの経験をもとに構想した。本展では3体の人物像の彫刻作品と、彼らの持ち物とされるバッグや靴などをかたどった彫刻作品、ポーランドから持ち帰ったものの断片で構成されたコラージュ作品がインスタレーションとして展開される。