北斎が西洋に与えた衝撃とは?
世界初「北斎×ジャポニスム」の展覧会が開催決定!

19世紀後半、ヨーロッパで起こった「ジャポニスム」と呼ばれる現象に、大きな影響を与えた画家・葛飾北斎。西洋近代芸術の展開を、北斎が与えた影響という観点から見る、世界初の展覧会が国立西洋美術館で開催される。会期は10月21日〜2018年1月28日。

(左)クロード・モネ 陽を浴びるポプラ並木 1891 キャンバスに油彩 93×73.5cm 国立西洋美術館(松方コレクション)(右)葛飾北斎 冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷 天保元-4年(1830-33)頃 横大判錦絵 ミネアポリス美術館Minneapolis Institute of Art, Bequest of Richard P. Gale 74.1.237 Photo: Minneapolis Institute of Art

 19世紀後半のヨーロッパで巻き起こった「ジャポニスム」。開国後の交流や、ロンドンやパリなどで開かれた万国博覧会をきっかけに、日本に対する関心が急速に高まり、様々な分野の芸術家たちが日本美術からヒントを得た新しい創造活動を開花させた。

 そのなかでも、とりわけ大きな影響力を持ったのが、浮世絵師・葛飾北斎(1760〜1849)だ。人物から動植物、風景や建築まで、すべてを網羅し描くことのできた北斎の作品は、頻繁に引用され、その名声を高めていった。

 北斎の作品を所有していたモネが描いた《陽を浴びるポプラ並木》(1891)の構図は、北斎の《冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷》(1830-33頃)に描かれた松の並木のリズム感に呼応する。また、「踊り子の画家」と呼ばれたドガは、「北斎漫画」に登場する人物の何気ない動きをとらえたポーズに刺激され、人体表現の研究を深めていった。工芸の分野でも、北斎が描いたモチーフや構図はティファニーやガレなどの多くの作品に取り入れられた。

 本展は、北斎の作品から受けた刺激を切り口に、西洋近代芸術の展開を編み直す、世界初の試み。北斎の錦絵と版本約90点とあわせて、モネ、ドガ、セザンヌ、ゴーギャンなどの絵画や、ティファニーやガレの装飾工芸など、西洋芸術の名作約200点が展示される予定だ。

 東西の名作をともに見ることで、北斎の魅力を再発見するとともに、異文化の刺激を受けて発展する芸術のエネルギーを感じることができるだろう。

編集部

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