大庭大介の新たな挑戦。
あざやかな光の空間から色なき「黒」の世界へ

偏光パールの絵具を用い、光量や視角の変化とともに表情を変える絵画を制作してきた大庭大介が、SCAI THE BATHHOUSEの個展で新作を発表する。会期は5月19日から6月24日。

大庭大介 6 2017 アクリル、綿布、パネル 120×120×4.5 cm 撮影:表恒匡 協力:SCAI THE BATHHOUSE

 大庭大介は1981年静岡県生まれ。東京藝術大学大学院修了後、現在は京都を拠点に制作を行っている。これまでの主な個展に、「The Light Field」(大和日英基金・ロンドン、2011年)、「大庭大介 個展」(SCAI THE BATHHOUSE・東京、12年)、グループ展に、「ECHOSOPHIA〜アートと建築〜」(堂島リバービエンナーレ2011・大阪、11年)などがある。

 大庭は、偏光パールのアクリル絵具を用い、光の移ろいや鑑賞者の立ち位置によってイメージや色彩が変化し続ける絵画を制作。その作品は、光学的な法則に従って繰り返された規則性と、予期せぬ流れを生む絵具の偶然性によって生み出される。近年は、ホログラム系の顔料を取り入れ、より鮮明な光の運動による新たな質感とリズムをもつ作品を展開している。

 本展で発表される新作シリーズでは、これまでの明るい画面の作品に対し、色彩を排除するかのような黒を導入。黒い絵具を支持体の上に炸裂させた《0NE》(2017年)など、絵画を出来事が起こる場として捉えなおし、色のない世界で行為そのものに目を向けた概念的な作品を展開する。

編集部

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