椿昇の個展が十和田市現代美術館で来夏開催。巨大生命体をつくり続けるそのキャリアに迫る【2/2ページ】

 椿は初期の代表作《カメレオンイーター》(1985)をはじめ、約40年にわたるキャリアのなかで、突然変異したかのような巨大生命体の造形を通して現代の資本主義社会への問題提起を続けてきた。1989年の巨大な黄色いモンスター《フレッシュガソリン》や、日本初の国際美術展「横浜トリエンナーレ2001」で室井尚と共同制作した巨大なバッタのバルーン《飛蝗(プロジェクト・インセクト・ワールド)》などが著名だ。また、十和田市現代美術館の外庭には真紅の巨大ロボットアリ《アッタ》(2008)が日本で唯一常設展示されており、来訪者に高い認知を誇る。

椿昇 カメレオンイーター 1985 ©️椿昇
椿昇 フレッシュガソリン 1989 ©️椿昇
椿昇 飛蝗(プロジェクト・インセ クト・ワールド) 2001 ©️椿昇

 本展では、初公開となる巨大生命体の最新作を中心に、異なる技法や様式を用いた作品群を紹介。国内の美術館で14年ぶり、東北では初となる個展。制作活動40年を超える椿昇の、多面的な表現を一望できる貴重な機会となりそうだ。

椿昇 マーマリアン 2012 撮影=顧剣亨