本展では「Phantom Lady or Kismet」(1996-98)、「Return of the Phantom Lady」(2012)、「The Navarasa Suite」の3シリーズを展示。「Phantom Lady or Kismet」はプシュパマラがフォト・パフォーマンスという表現手法を探求し始めた最初の作品シリーズだ。25枚のモノクロ写真で構成された本シリーズは、フィルム・ノワール時代の映画的描写をパロディ化している。また、1930年代から40年代にかけて、俳優やスタントとして活躍したインド女性たちへのオマージュを込めているという。


「Return of the Phantom Lady」は「Phantom Lady or Kismet」の続編であり、現代のインド・ムンバイを舞台に、殺人、陰謀、悪事の巣窟を解き明かしていく。ミステリー小説のカバーページの大胆な色調を思わせるカラー写真21枚のシリーズ作品で、プシュパマラが再び演じる「ファントムレディ」が歴史ある映画館や古びたカフェを巡りながら孤児の少女を救出すべく奔走する。

「The Navarasa Suite」は、インド美学における9つの感情「ラサ」、すなわち「Sringara(恋情)」「Adbhuta(驚き)」「Hasya(ユーモア)」「Bhayanaka(恐怖)」「Bhibhatsa(嫌悪)」「Karuna(悲しみ)」「Raudra(怒り)」「Veera(勇敢)」「Shanta(寂静)」をもとに、緻密な演出が組まれた一連のセルフ・ポートレイト作品だ。


なお、本展の関連展示として「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」の期間中、「Dressing Up: Pushpamala N presented by CHANEL Nexus Hall」と題して、「The Arrival of Vasco da Gama」に加え「Mother India」「Avega~The Passion」といったシリーズを展示する展覧会も開催される。会期は4月12日〜5月11日。
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