「没後100年 富岡鉄斎」が京都国立近代美術館で開催へ。京都では27年ぶり

京都国立近代美術館は4月2日から5月26日にかけ、「没後100年 富岡鉄斎」を開催する。京都での鉄斎の回顧展は27年ぶりだ。

 京都ではじつに27年ぶりとなる、富岡鉄斎(1836〜1924)の回顧展 「没後100年 富岡鉄斎」が京都国立近代美術館で開催される。会期は4月2日〜5月26日。

 鉄斎は「最後の文人画家」と称えられる人物。幕末、京都の商家に生まれ、近世都市の商人道徳を説いた石門心学を中心に、儒学・陽明学、国学・神道、仏教等の諸学を広く学びながら同時に、南宗画、やまと絵等をはじめ多様な流派の絵画も独学し、深い学識に裏付けられた豊かな画業を展開した。 

 幕末に人格を形成して明治初期には神官として古跡の調査と復興に尽力し、官を辞したあとは市井の画家として生きた鉄斎は、2024年末で没後100年を迎える。本展では、この節目にあわせてその画業と生涯をあらためて回顧するものだ。

 展示では、六曲屏風一双の大作《富士山図》、《妙義山図・瀞八丁図》、《富士遠望図・寒霞渓図》、《阿倍仲麻呂明州望月図・円通大師呉門隠栖図》(重要文化財)や掛軸の《三津浜漁市図》、《菟道製茶図・粟田陶窯図》双福、《嫦娥奔月図》、《碧桃寿鳥図》、《瀛洲仙境図・西王母図・福禄寿図》三幅対など、鉄斎の画業を語るうえで欠かすことのできない作品を多数展示。一般公開されたことのない《土神建土安神社図・椎根津彦像・平瓫図》三幅対や、画集のモノクロ写真で知られるのみだった初期の屏風《山水図》、50年振りの公開となる《渉歴余韻冊》など、従来の鉄斎展では見ることができなかった作品も並ぶ。

富岡鉄斎 阿倍仲麻呂明州望月図・円通大師呉門隠栖図(重要文化財) 1914 公益財団法人 辰馬考古資料館 ※第1期(4月2日~4月14日)出品

 また、二曲屏風一双の大作《雪・月・花・茶詩書》のほか、親しくしていた画家・今尾景年のため揮毫した《養素斎書》、陶芸家の四代清水六兵衞に捧げた《四代清水六兵衞宛弔辞》など、書の名作も紹介される。

 加えて、絵画制作と読書に日々励んでいた鉄斎の画室に置かれていた硯や墨、筆、絵具、絵具皿、机など、遺愛の品々が多数展示されることもポイントだ。

 なお本展は京都会場のあと、富山県水墨美術館、碧南市藤井達吉現代美術館に巡回。《妙義山図・瀞八丁図》、《阿倍仲麻呂明州望月図・円通大師呉門隠栖図》(重要文化財)、《雪・月・花・茶詩書》、《蜃楼海市図》などは京都会場のみの展示となる。

編集部

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