金沢21世紀美術館で、「DXP(デジタル・トランスフォーメーション・プラネット)─次のインターフェースへ」展が10月7日〜2024年3月17日の会期で開催される。
本展は、AI、メタバース、ビッグデータなど、現代においてもっとも注目すべきテクノロジーにアートの視点から焦点を当てるもの。これらのテクノロジーがどのように進化し、私たちの生活や感性にどのような影響を与えるかを予見するような作品を紹介する。
企画者は同館館長・長谷川祐子をはじめ、髙木遊、原田美緒、杭亦舒、本橋仁の5名であり、アドバイザーはハンス・ウルリッヒ・オブリスト(サーペンタイン・ギャラリー ディレクター)が務めている。レフィーク・アナドールや松田将英、ジョナサン・ザワダなどのアーティストをはじめ、建築家、科学者、プログラマーなど、11ヶ国から様々な分野の専門家23組(29名)が参加し、領域横断的なアプローチからテクノロジーと人類との関係を多角的に探求する。
展覧会は8章構成。第1章「GAMEの新しい見方:Play-Theater」では、ロンドンとベルリンを拠点に活動しているアーティスト集団・Keikenによる最新作 RPGゲーム《Morphogenic Angels: Chapter 1》を展示し、鑑賞者がゲームをプレーできると同時に、没入型インスタレーションを通してゲームの世界観も体験できるという。
第2章〜第4章では、それぞれ「衣」「食」「住」の側面から、河野富広(ウィッグ・アーティスト)やアンリアレイジ(ファッションブランド)、GROUP(建築コレクティブ)、明治大学宮下芳明研究室などのアプローチを紹介する。
第5章「AIと生きる:AIがどこまで人間性を獲得できるか」では、東京大学池上高志研究室やシュルティ・ベリアッパ&キラン・クマールなどの取り組みを通じ、AI技術の発展によって提示された新しい人間性の可能性を探る。第6章「デジタルを買う:デジタルの中の新しい物質性」では、NFTという「価値」と「交換」のインフラ/システムによる芸術、文化価値の新しい循環に注目し、第7章「データと新しい表現:絵画・インスタレーション」では、リサーチ結果や情報などのデータと創作の新しい関係を探求する。
最終章「ラディカル・ベタゴジー(新しい教育学)」では、スプツニ子!、草野絵美、メルべ・アクドガン、デイヴィッド・ブランディなどの実践を紹介。鳥の飛び方を教えるチュートリアルビデオから、廃墟をAIで再生する修復プログラム、バイオシミュレーションまで、未来を生き抜くための斬新な教育学をみせる11のプログラムを提案する。
なお会期中には、「デジタル時代における、アートと都市に関するシンポジウム」(10月7日〜8日)や、渋谷慶一郎と池上高志によるパフォーマンス「IDEA ― 2台のアンドロイドによる愛と死、存在をめぐる対話」(10月13日〜14日)も予定されている。そちらもあわせてチェックしてほしい。