メキシコの世界遺産のなかでもとくに古代都市の遺跡群に焦点を当て、「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」という代表的な3つの文明を紹介、古代メキシコ文明の奥深さと魅力にせまる特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」が東京・上野の東京国立博物館(6月16日~9月3日)、福岡県太宰府市の九州国立博物館(10月3日~12月10日)、大阪府大阪市の国立国際美術館(2024年2月6日~5月6日)で開催される。
本展では、前15世紀から後16世紀のスペイン侵攻までの3000年以上にわたり、多様な環境に適応しながら築き上げられてきた独自の古代メキシコ文明から、代表的な3つの文明「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」にフォーカス。その奥深さと魅力を全4章にわたって紹介するものだ。
第1章「古代メキシコへのいざない」では、前1500年頃メキシコ湾岸部に興った「オルメカ文明」を取り上げ、この文明の象徴的な1作品を紹介。また、「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」に通底する4つのキーワード「トウモロコシ」「天体と暦」「球技」「人身供犠」について解説され、展覧会への導入を図る内容となる。
第2章「テオティワカン 神々の都」では、前1世紀から後6世紀までメキシコ中央高原に栄え、「太陽のピラミッド」「月のピラミッド」「羽毛の蛇ピラミッド」を擁する巨大な計画都市を築いた「テオティワカン文明」を紹介。現在でも当時の民族や言語も未解明な謎の多い文明だが、美術や建築様式はその後も継承されていたという。本章では、近年の発掘調査や研究成果をもとに、巨大な計画都市の全貌が明らかにされる。
前1200年頃から広範な地域に栄え、暦や文字など高度な知識を有する王や貴族が中心となって、交易と戦争を繰り広げた「マヤ文明」は第3章で登場。本章ではマヤの文化的発展と王朝史に注目し、とくに王朝美術の傑作と名高い、「赤の女王のマスク」をはじめとする王妃の墓の出土品が本邦初公開される。
第4章では、1325年に首都テノチティトラン(現メキシコシティ)を築き、軍事力と貢納制度を背景に繁栄を謳歌した「アステカ文明」に焦点を当てる。テノチティトランは湖上の都市であり、中央に建てられたテンプロ・マヨールと呼ばれる大神殿にはウィツィロポチトリ神とトラロク神が祀られていた。本章ではアステカの優れた彫刻作品とともに、近年テンプロ・マヨールから発見された金製品の数々が展示される。
なお同展の音声ガイドには、メキシコに3年間暮らしていた経験があるという俳優の上白石萌音がナビゲーターとして、声優の杉田智和がナレーションとして登場する。ふたりが織りなす古代メキシコへのいざないにもぜひ注目したいところだ。