京都を代表する禅寺のひとつ、東福寺。その東福寺の絵仏師・明兆(みんちょう)による《五百羅漢図》の修復完成を記念し、寺宝をまとめて紹介する初の特別展「東福寺」が東京国立博物館、京都国立博物館の2館で開催される。会期は東京が2023年3月7日~5月7日、京都が2023年10月7日~12月3日。
東福寺は、鎌倉時代前期に摂関家の実力者であった九条道家の発願のもと、開山として円爾(えんに)を招いて建立された禅宗寺院。その名称は奈良の東大寺と興福寺に由来しており、京都五山のうちのひとつとしても知られている。後世では「伽藍面(がらんづら)」と称されるほどの巨大伽藍を誇り、禅宗美術を語るうえでは外せない名品が数多く現存している点でも注目される。
本展は、東福寺創建の歴史のみならず、「画聖」とも崇められた絵仏師・明兆による作品群に着目するもの。とくに14年間にわたる修復を経た大作《五百羅漢図》の現存する全47幅が展示されるとともに、応仁の乱による戦火を免れた巨大な仏像や書画類などの貴重な文化財の数々を全5章にわたって展覧するものとなる。
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ほかにも、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した仏師・運慶の作風に極めて近いと言われる《四天王立像のうち多聞天立像》や、東福寺の旧本堂に安置されていた216.5センチにも及ぶ旧本尊の左手も展示される。
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また、本展の見どころのもうひとつとして、その巨大伽藍を体感するため境内の一部が再現される点が挙げられる(東京会場のみ)。京都に足を運ぶことが難しい方でも、そのスケールを味わうことができるだろう。
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禅宗美術を語るうえでは外せない巨大名品の数々を、ぜひその目で確かめてほしい。なお、本展では展示替えが行われるため、各作品の展示期間については展覧会公式サイト等で確認してほしい。