見て、味わいながらイギリス文化を知る。ボタニカル・アートの展覧会がSOMPO美術館で開催

草花を正確かつ緻密に描いた「ボタニカル・アート(植物画)」を、イギリスの食文化と関連づけながら展示する展覧会がSOMPO美術館で開催される。

ウィリアム・フッカー リンゴ “デヴォンシャー・カレンデン”  1818 スティップル・エングレーヴィング、アクアティント 紙に手彩色 34.5×26.0cm Photo:Michael Whiteway

 食用となる植物を描いたボタニカル・アート(植物画)の展覧会「おいしいボタニカル・アート ̶ 食を彩る植物のものがたり」がSOMPO美術館で開催される。会期は11月5日~ 2023年1月15日。

作者不明 イチゴ “ストロベリー・オブ・ヴェルサイユ”  1788 エングレーヴィング、紙に手彩色 20.1×11.7cm Photo Brain Trust Inc.

 ボタニカル・アートとは、薬草学や植物学といった科学的研究を目的として、草花を正確かつ緻密に描いた「植物画」のこと。 17世紀の大航海時代、珍しい植物を追い求めたプラント・ハンターたちの周辺で多くのボタニカル・アートが描かれ、専門の画家も活躍し急速に発展。 18世紀以降になると科学的な目的に加え、芸術性の高い作品も描かれるようになった。

フレデリック・ポリドール・ノッダー ジャガイモ 1794 エングレーヴィング、紙に手彩色 18.8×11.0cm Photo Brain Trust Inc.

 「おいしいボタニカル・アート ̶ 食を彩る植物のものがたり」は、イギリスのキュー王立植物園の協力のもと、野菜、果物はもちろん、コーヒー、茶、カカオ、ハーブ、スパイスなど、身近なものから珍しいものまで、イギリスの食生活に関わる食材のボタニカル・アートを、その文化や歴史的背景とともに紹介するもの。

フレデリック・ポリドール・ノッダー オーツ麦 1794 エングレーヴィング、紙に手彩色 18.8×11.0cm Photo Brain Trust Inc.

 会場では、ティー・セットやカトラリー等のテーブル・ウェア、古いレシピ(18世紀)、ヴィクトリア朝の主婦のバイブル『ビートン夫人の家政読本』など、イギリスの食に関連した資料も展示される。

ロバート・ヘンネル社 ティーポット・セット 1861 銀 高さ20.0×幅24.0cm(ティーポット) Photo Michael Whiteway
ロイヤル・ウースター社 コーヒー・カップ&ソーサー 1879頃 磁器 高さ6.4×幅8.5cm(カップ)、 直径11.0cm(ソーサー) Photo Michael Whiteway

 例えば、イギリスとリンゴの深い関係、コーヒーがイギリスの金融に果たした役割、喫茶の習慣はどのように広まったのかなど、食に関連するボタニカル・アートを通じて、イギリスの歴史と文化をたどるものになるという。

ウィリアム・フッカー ブドウ “レザン・ド・カルム”  1818 スティップル・エングレーヴィング、アクアティント、紙に手彩色 34.5×26.0cm Photo Michael Whiteway

編集部

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