イヴ・クラインから考える「非物質性」。金沢21世紀美術館で展覧会開催へ

「クライン・ブルー」で知られるイヴ・クライン。その作品を中心に、「非物質性」をテーマとした展覧会「時を超えるイヴ・クラインの想像力―不確かさと非物質的なるもの」が金沢21世紀美術館で開催される。会期は10月1日〜2023年3月5日。

ピーター・モーリーの映画『フランスの鼓動』(1961年2月)撮影時のイヴ・クラインのポートレートAMF / (C)bpk/ Charles Wilp

 ひと目でそれとわかる青の顔料「インターナショナル・クライン・ブルー(以下IKB)」で知られるイヴ・クライン(1928〜1962)。その没後60年に当たる今年、金沢21世紀美術館で「時を超えるイヴ・クラインの想像力―不確かさと非物質的なるもの」が開催される。会期は10月1日〜2023年3月5日。

 イヴ・クラインは1928年フランス・ニース生まれ。モノクローム絵画をはじめとする独創的な作品やパフォーマンスで知られる。荒廃した戦後の「タブラ・ラサ(空虚)」ともいえる状況から、新しい人間性を探求する作家として彗星のごとく登場した。作品の素材や支持体のみに依存しない、芸術の「脱物質化」を徹底的に推し進め、同時代のアーティストのみならず、いまなお後世の作家たちに多大な影響を与え続けている。

 本展は、そのイヴ・クラインの作品を中心に、イタリアの空間主義運動や日本の具体などの同時代の作家、さらに現代の作家を加えて、それらに共通する「非物質性」というテーマを浮かび上がらせるもの。

 気候変動や新たなウイルス、そしてネットによる情報環境が生み出す混乱など、無数の「見えないもの」に影響を受ける現代において、イヴ・クラインを中心とする芸術家たちの「非物質性」を志向する創造的探求は、不確かな時代を乗り越える新たな気づきを与えてくれるかもしれない。

イヴ・クライン 人体レリーフ (マルシアル・レイス)―PR2 1962  顔料(青)、合成樹脂、ブロンズ、金で彩色された板 178×94×33cm 彫刻の森美術館(公益財団法人彫刻の森芸術文化財団)蔵

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