物憂さ、気だるさなどの気分、あるいは雰囲気などを表す言葉「アンニュイ(ennui)」。日本では「儚げ」などのニュアンスも持つこのキーワードを軸に、アルフォンス・ミュシャと宇野亞喜良という時代を超えたふたりのアーティストが共演する。
ミュシャ・コレクターの土居君雄(1926〜90)のコレクションを核にした美術館、堺 アルフォンス・ミュシャ館でこの春で開催されるのは、「アンニュイの小部屋 アルフォンス ・ミュシャと宇野亞喜良」。グラフィックの分野で女性や少女を題材に独自の世界観を生み出すミュシャと宇野亞喜良、両者の作品の数々が一堂に会する初めての展覧会となる。
ミュシャは代表的な装飾パネルを中心に展示。その作品の華麗さに見え隠れする憂いの表情に注目したい。また宇野亞喜良の作品は刈谷市美術館より特別出品される。
ミュシャが描いた1900年頃の女性と少女。そして宇野が1960〜70年代に描いた少女。それぞれが醸し出す“アンニュイ”の魅力に迫る。