長野・下諏訪町で「松澤宥生誕100年祭」が開催。街なかで貴重な作品や資料を展示

20世紀の日本の現代美術を牽引した松澤宥(1922〜2006)。松澤が生涯を過ごした長野・下諏訪町で「松澤宥生誕100年祭」が開催される。

松澤宥 撮影=中嶋興 画像提供=慶應義塾大学アート・センター

 長野・下諏訪町出身で、20世紀の日本の現代美術を牽引したひとりである松澤宥(まつざわ・ゆたか、1922〜2006)。2022年に松澤が生誕100年を迎えるにあたり、出身地である下諏訪町で「松澤宥生誕100年祭」が開催される。会期は2022年1月29日~3月21日。

諏訪実業高校定時制下諏訪分校教員の同僚と松澤宥(中央)

 松澤宥は「日本概念派」の創始者。1960年に「第12回読売アンデパンダン展」(東京都美術館)および「超現実絵画の展開展」(東京国立近代美術館)に《プサイの意味—ハイゼンベルグ宇宙方程式によせて》を出展。以降「プサイ」を冠する作品を発表する。しかし1964年には「オブジェを消せ」の啓示を受けてそれまでの造形表現を断ち、言葉や行為で表現する観念芸術を創始。非物質を主張し、66年の「人類よ消滅しよう行こう行こう」や、「オブジェを消せ」「美術の終焉」を掲げる展示・パフォーマンスを展開した。その後も国内外のアーティストに向けて作品の郵送を呼びかける「世界蜂起」(1971〜73)をはじめ、メール・アートによるプロジェクトを実施。ヴェネチア・ビエンナーレ(1976)、サンパウロ・ビエンナーレ(1977)に参加した。

プサイの部屋 撮影=長沼宏昌

 松澤はその生涯のほとんどを下諏訪で過ごし、「プサイ(ψ)の部屋」と命名された自宅兼アトリエで、蓄積した資料や過去の自作のオブジェなどに囲まれながら思索を深めた。今回、 有志団体「Suwa-Animism(スワニミズム)」の美術部が主催する「松澤宥生誕100年祭」は、諏訪を起点として「ローカルかつグローバル」に生きた松澤から学ぼうとするものだ。

松澤宥 2002年2月2日2時22分 2002 国立近代美術館でのパフォーマンスの様子 撮影=長沼宏昌

 メインプログラムのひとつとなる「まちなか展覧会」では、「下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館」をはじめ、ギャラリーや商店、カフェなど町内の様々な施設で松澤の貴重な作品や資料を展示する。

 なお、長野県立美術館でも、松澤の生誕100年を記念した回顧展「生誕100 年 松澤宥」が2022年2月2日~3月21日に開催される予定となっており、2022年は長野県内で松澤に関連する様々な展覧会が開催されることとなりそうだ。

編集部

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