モノクロームのパレットやグレースケールのペインティングで知られる画家・五木田智央。その北米での初美術館個展「Get Down」が、6月12日よりアメリカ・テキサスにある現代美術館、ダラス・コンテンポラリーで開催される。
五木田は1990年代にイラストレーションやグラフィックデザインから芸術活動に移行し、20年近くにわたって日本のサブカルチャーや国際的なアートシーンで高い評価を得てきた。アーティストとしてのキャリアをスタートさせた当初から、そのペインティングや鉛筆・インクによるドローイングは、抽象と具象の二分法をシームレスに覆すことで、見る人の視覚的および感情的な感覚を揺さぶる。
本展では、ピンナップモデル、女子レスラー、家族の肖像などのモチーフを用いた鮮やかなパステルカラーの作品に加え、ソーシャルディスタンスを保つ個人やドナルド・トランプ前大統領の姿が散りばめられる、コロナ禍によるロックダウン中に制作された未公開作品などが展示される。
「このパンデミックのなかで私に何ができるのか? 人類はどうなってしまうのか?」と問う五木田は、今回の作品についてこう語っている。「そのような疑問を無視して、私はただ絵を描くことに集中した」。