東京国立近代美術館の所蔵作品展「MOMATコレクション」が、今期は「東北を思う」「春まつり」「あやしい」をキーワードに開催される。会期は3月23日~5月16日。
東日本大震災直後の2011年5月から2014年度にかけて、3回にわたって「東北を思う」と題した特集を組んだ同館。震災から10年目となる今年は、その「東北を思う」の展示を複数の展示室で再現し、当時の解説キャプションとともに紹介する。
展示作品は、1970年代の東北を舞台とする北井一夫「村へ」、森山大道「遠野物語」などの写真シリーズや、震災を背景に制作された藤井光、Chim↑Pom、田中功起らの映像作品、畠山直哉の「Untitled (tsunami trees) 」シリーズのほか、9.11同時多発テロを契機に制作された大岩オスカールの《ガーデニング(マンハッタン)》(2002)など。
また、千鳥ヶ淵の桜の開花にあわせた同館のイベント「美術館の春まつり」(3月23日~4月11日)にあわせ、花を描いた日本画が一堂に集結。毎年1度だけの公開となる重要文化財の川合玉堂《行く春》(1916、屏風六曲一双)や、しだれ桜など40種類を超える貴重な桜を描いた跡見玉枝《桜花図巻》(1934、画巻一巻)などを展示する。
同時開催の「あやしい絵展」(3月23日~5月16日)の関連では、物語や詩歌を題材とする明治末期~昭和初期の中沢弘光、前田青邨、中村不折による絵画作品や、古賀春江、長谷川利行、木村荘八らによるエロティック・グロテスク・退廃的・ミステリアスな世界が描かれた作品が登場。2階ギャラリーでは、ウジェーヌ・アジェ、川田喜久治らによる「あやしい写真」の世界を紹介する小企画「幻視するレンズ」も開催される。
加えて注目したいのが、昨年末「建物を思う部屋」に完成し、公開されているソル・ルウィットの《ウォール・ドローイング#769》(1994)だ。ルウィットのウォール・ドローイング作品がコレクションとして美術館に収蔵・展示されるのは国内初。こちらもあわせてチェックしてほしい。