2020.11.14

異端をゆく美術家・榎忠。半世紀の活動を網羅する回顧展「RPM-1200」に注目

美術家・榎忠(えのき・ちゅう)の個展「RPM-1200」が、東京・天王洲のANOMALYで開催される。会期は12月5日~2021年1月16日。

「その男、榎忠」展示風景(2006、KPOキリンプラザ大阪) 撮影=平垣内悠人
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 榎忠(えのき・ちゅう)の個展「RPM-1200」が、東京・天王洲のANOMALYで開催される。会期は12月5日~2021年1月16日。

 榎は1944年香川県生まれの美術家。20代から独学で絵画を描き始め、70年に結成した「ハプニンググループZERO(1972年にJAPAN.KOBE.ZEROと改称)」では、神戸の街を劇場に見立て、集団で繰り広げるハプニングを先導。万博のシンボルマークを体に焼き付け、銀座をふんどし姿で闊歩する《裸のハプニング》など、単独のパフォーマンスも次々と行った。

 グループ脱退後の77年には、自宅を会場とした個展「EVERYDAY LIFE MULTI」を開催。80年頃からは、大砲や銃などの兵器を模した作品や、無数の金属部品を旋盤で磨き積み重ねたインスタレーションを発表した。全長数十メートル、総重量数十トンといった大規模な作品も数多く手がける。これまで参加した展覧会に「六本木クロッシング2007:未来への脈動」(森美術館、東京)「ラブラブショー2」(青森県立美術館、2017)、国立国際美術館 開館40周年記念展「トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」(国立国際美術館、大阪、2018)などがある。

 本展のタイトル「RPM-1200」は、旋盤の回転数(1200 Revolutions Per Minute)を表し、また榎の代表作のタイトルでもある。同作は、定年まで金型職人として勤めあげた榎が、退勤後に旋盤を回し磨き上げた工業部品を、ひとつひとつ辛抱強く積み上げることでかたちづくられる。100分の1ミリの精度で仕上げられたボルトなどの部品が、榎の手作業により無数の集合体として凝縮されている。

 本展は、同作を中心に、銃のシリーズや「パトローネ」シリーズ、さらに榎が絵筆を折って開始した70年代以降の活動の資料や記録を含めて構成する回顧展的な展覧会だ。美術内美術の観念から大きく離脱しながら、結果的に正史として記述されるだろう「榎忠」。本展を通じて半世紀におよぶその活動を網羅したい。

榎忠 BAR ROSE CHU 1979
榎忠 地球の皮膚を剥ぐ 1990 撮影=米田定蔵
榎忠 RPM-1200 2006-09 兵庫県立美術館 撮影=金子治夫