根津美術館は今年で財団創立80周年。同館所蔵の国宝・重要文化財を一望する展覧会が開催

国宝7件、重要文化財88件を含む、日本と東洋の古美術約7400件を所蔵する東京・南青山の根津美術館。今年は、同館の財団創立80周年と、現在の文化財保護法が制定されてから70年目にあたる節目の年。加えて、初代・根津嘉一郎の生誕160年でもあることを記念して、特別展「根津美術館の国宝・重要文化財」が開催される。会期は11月14日~12月20日。

国宝 燕子花図屏風(右隻) 尾形光琳 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵 展示期間=12月1日〜13日

 東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代 根津嘉一郎(1860~1940)が蒐集した日本と東洋の古美術約7400件を有する東京・南青山の根津美術館。同館は、1941年の開館以来、絵画や書蹟、彫刻、陶磁、漆工、染織、金工といった多岐にわたる作品を、毎回テーマを変えながら展覧会を通して紹介してきた。

 根津美術館財団創立80周年と、 初代嘉一郎没後の1950年に現在の文化財保護法が制定されてから70年目にあたる今年。加えて、初代嘉一郎の生誕160年でもあるという節目の年を記念して、同館では、収蔵品の根幹をなす指定品95件をすべて通覧できる展覧会「根津美術館の国宝・重要文化財」を開催。古美術の名品が一堂に会する貴重な機会だ。

重要文化財 夏秋渓流図屏風(右隻) 鈴木其一 日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵 展示期間=11月14日〜29日
重要文化財 夏秋渓流図屏風(左隻) 鈴木其一 日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵 展示期間=11月14日〜29日

 明治維新に伴う人々の価値観の変化によって危機に瀕した、古社寺の建物や宝物を保護する目的で制定された「古社寺保存法」(1897)、国宝指定の範囲を個人の所蔵品にまで広げた「国宝保存法」(1929)、海外流出防止の目的で設けられた「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」(1933)、そして1950年制定の「文化財保護法」。これらの法に則って指定された根津美術館の国宝は7件、重要文化財は88件を数え、初代嘉一郎の鑑識眼の確かさを裏付けている。

 初代嘉一郎の蒐集品は、とくに晩年に親しんだ茶の湯の道具と、宗派に依らぬ寺院建立を目指して集めた仏教美術、そして中国の古代青銅器などで構成されている。そのラインナップからは、古美術品の海外流出を止め、後世に伝えようという初代嘉一郎の使命感がうかがえるだろう。

国宝 漁村夕照図 牧谿 中国・南宋時代 13世紀 根津美術館蔵 展示期間=11月14日〜29日

編集部

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