新型コロナウイルスの影響で中止になった数多くの演劇。その記憶を後世に伝える動きを、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館が見せている。
アジアで唯一の演劇専門総合博物館として知られる早稲田大学坪内博士記念演劇博物館は今年6月、新型コロナで公演中止や延期となった演劇の情報収集を開始。劇団・劇場・関係団体に対し、チラシやポスター、プログラム、パンフレット、公演中止を知らせるDM等の文面などの提供を呼びかけた。
その成果として、同館は10月上旬よりチラシ画像を用いた「失われた公演」のオンライン展示を開催する。同展は、「コロナ禍の影響下にある現在を、演劇という視座から記録し、かつ2020年に上演が叶わなかった公演の記録/記憶を後世に伝えること」を目的としたもの。同館は「公演を中止・延期せざるをえなかった人たち──つくり手のみならず、観客も含めた──の思いや声をすくい上げ、ひろく開いていく場であり、苦境に立ち向かい続けている演劇現場へのエールにもなることを願うもの」としている。
オンライン展示は定期的に更新予定であり、来春には現物展示による企画展の開催につなげたい考えだ。
なお同館にはこれまで、古典芸能から現代演劇まで、約80団体から約100点以上の資料(チラシ、ポスター、台本、映像等)の提供があり、今後も資料提供の呼びかけを継続して行っていくという。