京都国立博物館で、宮内庁が所蔵する名品を日本の宮廷で培われた文化とともに紹介する特別展「皇室の名宝」が開催される。会期は10月10日~11月23日(会期中展示替えあり)。
本展には、宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵する名品100点あまりが集結。皇室の名宝が京都でまとまって公開される初めての機会となる。
とくに注目したいのが、伊藤若冲が40歳で描いた記念碑的作品《旭日鳳凰図》と《動植綵絵》(8点)。三の丸尚蔵館は、若冲をはじめ、狩野永徳、俵屋宗達、尾形光琳、円山応挙らによる作品を屏風を中心に収蔵。宮中の室内を飾るために宗達が描いたと考えられる《扇面散屏風》や、八条宮邸を飾った永徳による源氏絵なども見ることができる。
書では、「書聖」とよばれた王羲之のほか、三蹟に数えられる小野道風、藤原佐理、藤原行成によるものを揃って所蔵。本展では、平重盛、西行、藤原定家など、歴史上の人物による個性豊かな書も紹介する。
絵巻では、元寇のありさまを描いた《蒙古襲来絵詞》や、20巻すべてが欠けることなく伝世し、絵師の名も詞書の筆者も判明する《春日権現験記絵》が、鎌倉時代の歴史や美術を語る逸品として知られている。
また本展では『万葉集』『和漢朗詠集』など古筆の名品から、漢字から万葉仮名へ、そしてかな文字へと深化していく和漢の交わりをたどるほか、天皇の姿と風雅を伝える肖像や日記も紹介。加えて、「藤壺」の別名でも知られる京都御所・飛香舎を飾る襖絵と調度から、そのしつらいを100年以上の時を超えて再現する。