ゴッホからポップ・アンダーグラウンドまで。今週末に見たい展覧会ベスト3

先週末から今週にかけてスタートした展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。予約方法や注意事項については、各館の公式ウェブサイトを参照してほしい。

「珠玉のコレクション─いのちの輝き・つくる喜び」展示風景より、フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》(1888)

開館記念展でゴッホや東郷青児に出会う。「珠玉のコレクション─いのちの輝き・つくる喜び」(SOMPO美術館

「珠玉のコレクション─いのちの輝き・つくる喜び」展示風景より

 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館が、敷地内に移転し、7月9日にSOMPO美術館として開館を迎えた。その開館記念展が「珠玉のコレクション─いのちの輝き・つくる喜び」(日時指定入場制)だ。同展は、70点の同館コレクションによる「四季折々の自然」「『FACE』グランプリの作家たち」「東郷青児」「風景と人の営み」「人物を描く」「静物画─花と果物」の6章構成となっている。

 同展で大きく紹介されているのは、自然を愛した日本画家・山口華楊の大作や、同館開館のきっかけとなった東郷青児の作品、グランマ・モーゼスやモーリス・ユトリロ、ポール・ゴーギャンら、19世紀後半から20世紀にかけて描かれた欧米の風景画などだ。さらに、同館が2012年度から行っている新進作家顕彰事業「FACE」のグランプリおよび優秀賞を受賞作家も紹介される。

 さらに同展で注目したいのが、過去に修復された際に塗布されたニスが経年変化し黄ばみが生じていたルノワールの《浴女》(1892〜93)。なるべく手を加えず、作品オリジナルの状態に近づけるための修復作業を経て展示されている。また、同館コレクションを代表するゴッホの《ひまわり》も、低反射の特別仕様ガラスケースにより細部まで鑑賞することができる。

会期:2020年7月10日〜9月4日
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし8月10日は開館)
料金:一般 1000円 / 大学生 700円 / 高校生以下無料
※日時指定入場制。入館にはマスク着用と検温が必要。

「理想の性器」をキーワードに遠藤麻衣と百瀬文が共作。「新水晶宮」(TALION GALLERY

遠藤麻衣×百瀬文 Love Condition 2020 映像 1時間15分52秒

 遠藤麻衣は、自身の結婚をモチーフにした作品《アイ・アム・ノット・フェミニスト!》などで知られるアーティスト。いまここにある身体が発するメッセージと、社会規範や芸術のフォームとのずれを遊戯的に重ね合わせて表現を行なってきた。今年2月には、オーストリア女性芸術家協会(VBKÖ)で展覧会「When It Waxes and Wanes」の企画も開催している。

 百瀬文は、見る/見られる、語る/語られるといった関係の非対称性を自己言及的に問い直すような映像作品を主に手がけてきた。近年の個展に「I.C.A.N.S.E.E.Y.O.U」(EFAG、2019)、「Born to Die」(switch point、2020)など。また、イム・フンスンと共同制作した作品『交換日記』が全州国際映画祭に正式招待されるなど、国内外で活動を行っている。

 同展では、遠藤と百瀬が「理想の性器」をひとつのキーワードに、共作を発表する。マスキュリン(男性的)な言説の凝りをほぐし、軽やかなおしゃべりや転化を軸に構成。男と女、自然物と人工物などに二分されることのない、新たな性のあり方が実践される。

会期:2020年7月4日〜8月2日
会場:TALION GALLERY
住所:東京都豊島区目白2-2-1 B1
電話番号:03-5927-9858
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月、火、祝

「Underground」を切り口に21人のアーティストが共演。「GLOBAL POP UNDERGROUND」(PARCO MUSEUM TOKYO)

「GLOBAL POP UNDERGROUND」展示風景より、空山基《Sexy Robot》(2020)

 東京・渋谷のギャラリー、NANZUKAがキュレーションする展覧会。2019年にロサンゼルスとニューヨークのジェフリー・ダイチ・ギャラリーで開催された「Tokyo Pop Underground」のコンセプトを踏襲し、空山基や田名網敬一、ジェームス・ジャービス、キャサリン・バーンハートなど、NANZUKAのグローバルなアーティスト21人が参加する。

 この3~4年でコマーシャルなアートシーンで活動し、現代美術の文脈でも評価され始めたアーティストたちを一堂に紹介するが、そこには60年代や70年代からコマーシャル系の仕事をしながら作品をつくってきた作家の作品を取り扱ってきた、NANZUKAの代表である南塚真史の思想が込められている。

 南塚が積極的に海外のアートフェアやギャラリーで展示してきた結果、海外の作家による評価が高まり、尊敬を集めるようになった東京発のポップ・アンダーグラウンドのアートシーン。その代表的な作品が一堂に会する。

会期:2020年7月4日〜26日
会場:PARCO MUSEUM TOKYO
住所:東京都渋谷区宇田川町15−1 渋谷パルコ4F
電話番号:03-6455-2697
開館時間:10:00〜20:00 ※入場は閉場の30分前まで ※最終日は18時閉場
休館日:会期中無休料金:一般 500円 / 学生 400円
※時間指定入場制。詳細はチケット販売公式サイトを参照

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