都市の廃材を通して音を奏でる。サウンドアーティスト・田中堅大の個展がSta.で開催中

都市空間で起こる様々な現象を、音楽やサウンドアートに応用する田中堅大。現在、その個展「Urban Reminiscence──Sound, Object, and Rhythm」が、東京・渋谷のギャラリーSta.で行われている(〜7月12日)。本展は、都市に流れるリズムを浮き彫りにし、オブジェクトが持つ記憶を回想する試みだ。

展示風景より

 都市空間から音を紡ぐ「都市作曲(Urban Composition)」というテーマのもと、独自の活動を展開する音楽家/サウンドアーティストの田中堅大。その作品は、いずれも都市空間で起こる様々な現象を音楽やサウンドアートに応用したものだ。

 2019年3月には、機械学習を用いて都市風景から音楽を紡ぐサウンドインスタレーション《Algorithmic Urban Composition》を、スタンフォード大学CCRMAで発表。現在は、European Postgraduate in Arts in Sound(EPAS)に在籍し、音と都市空間の関係性に着目したサウンドアートの実践と研究に従事している。

田中堅大
田中堅大 Algorithmic Urban Composition 2019 スタンフォード大学CCRMAでの展示風景

 現在、田中の個展「Urban Reminiscence──Sound, Object, and Rhythm」が、東京・渋谷のギャラリー「Sta.」で行われている(〜7月12日)。本展は、展覧会タイトルと同名のプロジェクトの成果発表展。

 そのプロジェクトは、渋谷の廃材を集め、廃材があった場所の音をフィールドレコーディングするところから始まるという。本展では、目まぐるしく変化する渋谷を舞台に、都市の廃材を通して音を奏でることで、都市の記憶を回想するサウンドインスタレーションを披露。都市の音の集積が空間に再構成され、渋谷の記憶やリズムを体験できる展示となっている。

 多様な要素で構成される都市・渋谷を音の観点からとらえる本展は、都市の環境音が人々に影響を与える可能性を探求する試みでもあるという。会場のSta.は、レストラン、バー、ギャラリーと多くの機能を持つ。ギャラリーはオープンスペースになっており、渋谷に実際に流れるサウンドスケープと、展示の音を同時に聴くことができる。都市に重奏的に流れるリズムを浮き彫りにする本展に注目だ。

展示風景より
展示風景より

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