美しい自然と北欧の日常を描いた、スケーエン派の絵画展が国立西洋美術館で開催中

東京・上野の国立西洋美術館にて、デンマーク・スケーエンの芸術家村を拠点とした画家たちの作品を紹介する「スケーエン:デンマークの芸術家村」が開催されている。会期は5月28日まで。

ペーダー・セヴェリン・クロヤー ばら 1893 スケーエン美術館蔵 © The Art Museums of Skagen

 ユトランド半島の端に位置し、バルト海と北海に挟まれた町、スケーエン。白い砂浜や砂丘といった特徴的な風土をもつ、デンマーク最北端の町だ。かつては駅も港もない小さな漁村で、デンマーク人にも「自国の中の異郷」とされていたが、1870年代から独特の自然環境に惹かれた若い画家たちが訪れるようになり、北欧諸国から画家や詩人、作曲家などが集まる「芸術家村」がつくられた。

 この芸術家村を制作の拠点としたのが、自然主義の考え方を取り入れ、村の風景や生活をモチーフに絵画を制作した「スケーエン派」の画家たちだ。漁師たちの労働の様子、海辺の風景、素朴な村人たちの生活、そして自らと仲間たちの日常を見つめ、そのなかに自然と人間の本質にかかわる主題を見出した彼らの作品は、デンマークの近代美術を代表する一派を築いた。

 本展では、村のリーダー的存在であったペーダー・セヴェリン・クロヤー、スケーエン出身の女性画家アンナ・アンカーらによる、スケーエン美術館の所蔵作品59点が公開。デンマーク美術界に「近代の革新」と呼ばれる転換をもたらした、スケーエン派の活動を総覧できる。

編集部

Exhibition Ranking