2017年、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで日本初回顧展が行われ、大きな注目を集めたソール・ライター(1923〜2013)。その回顧展がふたたび、同館にて開催される。会期は2020年1月9日〜3月8日。
ソール・ライターは、1950年代からファッション・フォトグラファーとしてニューヨークの第一線で活躍。しかし58歳になった年に自らのスタジオを閉鎖し、世間から姿を消した。
その存在がふたたび脚光を浴びたのは、2006年のこと。ドイツのシュタイデル社から出版されたカラー作品の写真集『Early Color』が世界的な反響を呼び、当時すでに80歳を超えていたソール・ライターにとって、第2のデビューとなった。
ソール・ライターは2013年に89歳でこの世を去った。しかし、その住処であり仕事場でもあったニューヨークのイースト・ヴィレッジのアパートには、膨大な作品や資料が未整理のまま残されており、2014年に創設されたソール・ライター財団が、現在も「ソール・ライター作品の全アーカイブ化」に取り組んでる。
本展「ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター」では、17年の展覧会開催以降発掘された未整理資料のなかから、モノクロ・カラー写真、カラースライド等の多くの作品を選出。また今回はソール・ライターの生涯を映し出すアーカイブをデジタル技術を駆使し再現することで、その創作の秘密に迫る。
本展の展示構成は「第1部ソール・ライターの世界」「第2部ソール・ライターを探して」で構成。
第1部では、ソール・ライターのカラー作品をはじめ、前回の展覧会では紹介されなかったモノクロ・カラーの代表作、多数の未発表写真をはじめとする作品群など約130点によって、その業績をたどる。
第2部では、少なくともあと10年はかかると予想されているアーカイブ化作業において発掘されたカラー・スライドをデータ化した未発表作品を世界初公開。また、ソール・ライターが「スニペット」と名付けて愛でていた家族や恋人、知人、猫を写した小さな写真の数々がまとめて公開。展覧会の中の「小さな展覧会」を創出するという。
加えて、前回の展覧会の段階では未発表だったスケッチブックや家族のアルバム写真、愛猫たちの写真など、ソール・ライターの背景を知ることができる多くの写真も並ぶ。
カラー作品だけでも8万点とも言われる写真を残したソール・ライター。本展を通して、その一端に触れてほしい。