2019.10.12

松本竣介が編集を務めた『雜記帳』を紹介する展覧会が開催。出品作家は桂ゆきや福沢一郎ら7名

36歳という若さで世を去った画家・松本竣介が編集を務めた『雜記帳』。人間性に全幅の信頼と価値を置き、松本の真摯な生き方そのものを反映するような同誌に、作品を寄せた作家たちを紹介する展覧会「松本竣介と『雜記帳』」が、東京・駒込のときの忘れもので開催されている。出品作家は松本のほか、福沢一郎、難波田龍起、桂ゆき、恩地孝四郎、鶴岡政男、海老原喜之助。会期は10月8日~26日。

松本竣介編集 『雜記帳』(1936、綜合工房) 全14冊
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 36歳という若さで世を去った画家・松本竣介(1912~48)。中学時代に聴力を失い、やがて絵画を志した松本は17歳のときに上京。戦中戦後の困難な時代のなかでも明確な意志を貫き、死の間際まで精力的に活動を行った。

 そんな松本が編集した『雜記帳』は、自由な文章形式である随筆、エッセイを中心に、時代に文化の総合を求めた知性を提供する雑誌を目指し、36年に刊行された。特集記事にはヒューマニズムなどをテーマに掲げるなど、人間性に全幅の信頼と価値を置いた雑誌でもあり、その姿勢や態度は、編集者であった松本の真摯な生き方そのもののように感じ取れる。

 その『雜記帳』に作品を寄せた作家たちを紹介する展覧会「松本竣介と『雜記帳』」が、東京・駒込のときの忘れもので開催されている。出品作家は松本のほか、福沢一郎、難波田龍起、桂ゆき、恩地孝四郎、鶴岡政男、海老原喜之助が名を連ねる。

 また本展に際し、カタログ(カラー、44ページ)も刊行される。同著のテキストは、美術評論家の小松崎拓男が担当した。

松本竣介 作品 1936 『雜記帳』12月号(3)21ページより(1936、綜合工房)
恩地孝四郎 水浴 1929
『恩地孝四郎版画集』No.125(1975、形象社)より
難波田龍起 花 1935