大正・昭和にかけて活躍し、日本画家では唯一の従軍画家として戦地に赴いた小早川秋聲(こばやかわ・しゅうせい)(1885〜1974)。その関東圏では初めての回顧展が、東京・京橋の加島美術で開催される。
小早川秋聲は鳥取県生まれの画家。従軍中の兵士達の日常に寄り添った静的な戦争画を描いたことで知られる。小早川は、当時の画家には珍しくどの画壇にも属さず、画商も通さなかったため、その画業に関する資料は少なく、まとまって作品が見ることができる展覧会も少なかった。
関東圏内初の回顧展となる本展では、小早川の代表作である《國之楯》を展示。同作は、陸軍からの依頼で制作されながら、戦意を削ぐものとして完成後に受け取りを拒否された作品。当時の他の従軍画家達が、華々しく活躍する兵士の姿を描いてきたのとは対照的で、直接的に兵士の死を悼むものだ。
このような戦争画だけではなく、会場には小早川自身の数々の洋行の経験が活かされた風景画や宗教画なども展示。小早川の画業を回顧する。