銀幕スターが放つ光の奥にあるものを探って。「眼」を描き続けた画家・合田佐和子の個展がANOMALYで開催

劇団「状況劇場」「天井桟敷」の舞台・宣伝美術を手がけるほか、オブジェや油彩画、写真など多様な制作を行ってきた合田佐和子の個展が、東京・天王洲のANOMALYで開催される。本展では銀幕スターや人間の「眼」を描いた油彩画、ドローイングを紹介。会期は4月20日〜5月25日。

合田佐和子 Velonica’s Dream C 1994 ©︎Sawako Goda

 2016年に逝去した画家・合田佐和子の個展が、天王洲のANOMALYで開催される。

 合田は1940年高知県生まれ。幼少期、戦後の焼け跡から金属片などのガラクタや自然物を拾い集め、造形美に大きな興味を持ったという。59年には武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)に入学し、卒業後は唐十郎が主宰する「状況劇場」、寺山修司主宰の「天井桟敷」といった劇団の舞台美術や宣伝に参加した。

©︎Sawako Goda

 そして65年、瀧口修造の勧めにより初の個展を開催。当初はガラクタによるオブジェを発表していたが、その後は絵画、ポラロイド写真と活動の幅を広げていく。鬼籍に入るまで精力的に発表を行い、2001年に「森村泰昌と合田佐和子展」(高知県立美術館)を、03年には個展「合田佐和子 影像 ~絵画・オブジェ・写真~」(渋谷区立松濤美術館)を開催した。

 そんな合田が多く描いたのが、映画や舞台スターたちのポートレイトだ。強いライティングで撮影され、修正・印刷を経て本来の姿を失ったスターの姿。合田はそれを写実的に描くことで、光の産物としての写真と、その裏で重く傷ついていたスターたちの「痛み」を拾い上げようとした。

合田佐和子 Witness 2008 ©︎Sawako Goda

 また、自身の作品について「レンズ効果」という言葉を用いていた合田。人間の「眼」やバラの花を重要なモチーフとした、オーロラやプラズマ放電を思わせる色彩も特徴的だ。深い色の瞳や花びらの重なりはあの世の光景のようでもあり、静かな激しさを秘めて描かれている。

 唐十郎や寺山修司、瀧口修造、巖谷國士、蜷川幸雄など、時代の寵児たちと出会い、様々な作品を生み出した合田。本展ではその金字塔とも言える、70~2000年代に描かれた銀幕スターや「眼」の油彩画、ドローイングを見ることができる。

 なお、ANOMALYでは小谷元彦の個展「Tulpa –Here is me」が同時開催。こちらもあわせてチェックしたい。

編集部

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