これまで協働して多くの制作を行ってきた画家・近藤恵介と小説家・古川日出男の、2年半ぶり4回目となる展覧会「、譚(てんたん)」が東京・代官山のLOKO GALLERYで開催される。
近藤は1981年生まれ、2007年東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業。日本画の技法を使った大胆な構図で日常にあるものを細密に描き、冨井大裕や蓮沼執太など、他作家とのコラボレーションも積極的に行っている。
古川は1966年生まれの小説家。これまでに『ベルカ、吠えないのか?』(文藝春秋、2005)、『馬たちよ、それでも光は無垢で』(新潮社、2011)などの著作のほか、戯曲の執筆や朗読パフォーマンスも手がけてきた。
2人はこれまで、近藤が絵画の、古川が文字の要素を担当し、ときに即興的なセッションを交えながら作品を生み出してきた。本展では、2人が歴代の作品の中から数点を選び、回顧展的に会場を構成。各シリーズごとの文脈から切り離し、絵画単体の強度を浮かび上がらせる。
また本展のためにつくられる新作では、近藤が関心を持つ屏風や襖などの建具や、室内空間を扱い、江戸初期によく描かれたとされる「誰が袖図」という画題を参照。絵画でありながら家具として展示空間を区分けし、絵の内と外をつなぐ役割を担う。
なお会期中は公開制作を実施するほか、古川が発表予定の新作中編小説『焚書都市譚』をベースとし、2人が「画廊劇」と呼ぶ演劇/パフォーマンスを上演。公演にはさまざまなゲストを迎え、地下1階から地上2階までの空間を使ったダイナミックなパフォーマンスが展開される。