日本の抽象彫刻を代表する作家のひとりとして、次世代の彫刻家たちに大きな影響を与えた堀内正和(1911~2001)。戦争中に制作を一時中断するも、戦後にその活動を再開して以降、サンパウロ・ビエンナーレやインド・トリエンナーレといった国際展に出展するなど、注目を集めた。
堀内の作品は、身体の一部や身の回りにあるかたちをヒントに触覚的要素をかたどったもの。《ウィンクするMiMiちゃん》(1967)や《指の股もまた股である》(1968)など、鑑賞者が覗き込むことで完成する彫刻シリーズ「IKOZON」において、そういった独自のエロスやユーモアが存分に発揮されている。
今回、神奈川県立近代美術館 葉山で開催される「堀内正和展 おもしろ楽しい心と形」は、堀内の作風が具象から抽象へと変化を遂げた1950年代に着目しながら、初期から晩年までを約40点の彫刻作品でたどる回顧展。
加えて、堀内が思考する過程で生み出された紙彫刻(ペーパー・スカルプチャー)も多数展示され、機知とユーモアあふれる堀内の制作の源泉を知ることができる。