東京藝術大学は、同大学の前身である東京美術学校の開校に先立って、芸術作品/資料の収集を開始。その後130年間にわたって、約3万件にもおよぶ様々な分野の作品を収蔵してきた。そのなかには「制作の過程が見えるように」「作家の試行錯誤の跡が伝わるように」 という考えから、下図やスケッチブックなども多く含まれる。
現在、同大学で開催されている「藝大コレクション展 2018」では、曾我蕭白《群仙図屏風》、重要文化財に指定される高橋由一《鮭》、原田直次郎《靴屋の親爺》などコレクションを代表する名品に加えて、下図やスケッチ、関連作、完成作品と並べて展示。ときに作家の言葉を読みながら鑑賞できる展覧会となることを試みる。
加えて、17年に東京藝術大学クラウドファンディング事業によって修復費用を募った、柴田是真《明治宮殿千種之間天井綴織下図》の修復完成の初披露も見どころのひとつだ。修復により折れ皺が伸び、明るい画面を取り戻した是真の草花図の数々を堪能することができる。