今回、ディレクターを務める岡村恵子は、テーマの「マルチプルな未来」についてこう語る。「複製可能であること、マルチプルに(同時に多数)存在すること。それはオリジナルだったはずのものへの疑問符となります。マルチプルな(多くの部分や要素が織りなす)営みの果てに、「未来」は刻々と形づくられています。第9回恵比寿映像祭では、「マルチプルな未来」を総合テーマに、複製技術をともなう映像の特質と、その発達とともに個人や社会にもたらされている変化が指し示すものについて考えたいと思います」。
参加作家は、石川卓磨、ナンシー・D・ケイツ、ロバート・ノース&アントワネット・デ・ヨング、レイ・レイ、リン・ルー、マヌ・ルクシュ、マルティン・ラインハルト、トーマス・トーデ、ガブリエラ・マンガノ&シルヴァーナ・マンガノ、ズビグ・リプチンスキー、笹本晃、澤田知子、コルネリア・ゾルフランク、崟利子(たかしとしこ)、豊嶋康子など。上映ではフィオナ・タン《歴史の未来》(2015)、マヌ・ルクシュ、マルティン・ラインハルト、トーマス・ドーテ《ドリームズ・リワイヤード》(2015)、ナンシー・D・ケイツ《スーザン・ソンタグについて》(2014)の3作品がジャパンプレミアとして紹介される。
新しくなった東京都写真美術館全館を使い、映像やメディア技術の発達が、個人や社会のあり方にもたらす変化について探る。