「変化」をとらえた、旅する版画家。ヨルク・シュマイサーの没後初となる回顧展が町田市立国際版画美術館で開催へ

ドイツに生まれ、日本に学び、オーストラリアを拠点に各地を旅したアーティスト、ヨルク・シュマイサー。本展は世界を旅し、そこでの経験を美しい多色刷り銅版画で描き「旅する版画家」とも称されるシュマイサーの旅を180点の作品で追体験する、没後初の本格的な回顧展となる。会期は9月15日〜11月18日。

ヨルク・シュマイサー 《故宮への入口・北京》 1981 個人蔵

 ヨルク・シュマイサーは1942年ドイツ生まれのアーティスト。京都やヴェネチアなどの古都、中東やアジアの遠隔地、数千万年かけ形成されたオーストラリアの岩山、南極などを旅しながら版画を制作。

 世界各地を訪ね、その経験をに版に刻んだことから「旅する版画家」と称される。

ヨルク・シュマイサー 《日記とエアーズ・ロック》 1979

 大胆な造形に目を奪われるオーストラリアの岩山、漂流、崩壊しダイナミックに姿を変える南極の氷山、季節がめぐるたびに芽吹く新芽、アトリエ前の海岸に流れ着いた貝殻、イメージの趣くまま姿を変えていく女性たち。自分をとりまく世界に起こる「変化」を画面にとらえることに、シュマイサーは生涯をかけた。

 こうしてマクロからミクロまで、様々なモチーフが描かれた作品すべてが「変化」という主題に連なり、ひとつの大きな流れとなってシュマイサーの芸術を貫いている。

ヨルク・シュマイサー 「京都清水寺」より《清水寺、秋》 1979‐1980 個人蔵

 日本とも深い縁のあったシュマイサー。2012年の逝去後、初の本格的な回顧展となる本展では、初期から晩年までの代表作を網羅した約180点により、その軌跡をたどる。

編集部

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