ヨルク・シュマイサーは1942年ドイツ生まれのアーティスト。京都やヴェネチアなどの古都、中東やアジアの遠隔地、数千万年かけ形成されたオーストラリアの岩山、南極などを旅しながら版画を制作。
世界各地を訪ね、その経験をに版に刻んだことから「旅する版画家」と称される。
大胆な造形に目を奪われるオーストラリアの岩山、漂流、崩壊しダイナミックに姿を変える南極の氷山、季節がめぐるたびに芽吹く新芽、アトリエ前の海岸に流れ着いた貝殻、イメージの趣くまま姿を変えていく女性たち。自分をとりまく世界に起こる「変化」を画面にとらえることに、シュマイサーは生涯をかけた。
こうしてマクロからミクロまで、様々なモチーフが描かれた作品すべてが「変化」という主題に連なり、ひとつの大きな流れとなってシュマイサーの芸術を貫いている。
日本とも深い縁のあったシュマイサー。2012年の逝去後、初の本格的な回顧展となる本展では、初期から晩年までの代表作を網羅した約180点により、その軌跡をたどる。