石川直樹は1977年東京生まれ。22歳で北極から南極までを人力で踏破、23歳で七大陸最高峰の登頂に成功するなど、過酷な極地から都市の混沌に至るまで縦横に世界を歩き、写真を撮り続けてきた。
近年では国内外を旅して、人類学や民俗学などの領域への関心に基づきながら、独自のスタイルで作品制作を続けている。
写真や映像、そして石川が実際に使用してきた道具なども含めて、その旅の軌跡をたどる本展。北極圏に生きる人々を写した「POLAR」、各地に残る先史時代の壁画を撮影した「NEW DIMENSION」、ポリネシア・トライアングルの島々をとらえた「CORONA」、日本列島の南北に連なる島々を追う「ARCHIPELAGO」、ヒマラヤの西端に位置する世界第2位の高峰に向かう遠征で撮影された「K2」などのシリーズが紹介される。
なかでも注目したいのは、石川が北九州市内を2008年に撮影した「KITAKYUSHU」シリーズだ。本作はほかの巡回先には展示されず、九州会場のみの特別展示となる。
自らの足で世界を歩いた石川だからこそ写すことのできた「この星の光の地図」は、地球に生きる我々に新たな視点を与えてくれるだろう。