ニューヨークで美術館を巡る。
ジャコメッティからユーゴスラビア建築まで、注目の展覧会をピックアップ

海外旅行ではショッピングやレジャーだけでなく、美術館へ展覧会を見に行くのも楽しみのひとつ。今回はアメリカで開催されている展覧会のなかから、編集部が注目する展覧会をピックアップ!ニューヨークを中心に、様々な歴史をアートで体感できる4つの展覧会を紹介する。

ジャコメッティ展 会場風景 Installation view: Giacometti, Solomon R. Guggneheim Museum, New York, June 8–September 12, 2018Photo by David Heald © Solomon R. Guggenheim Foundation, 2018

Giacometti (グッゲンハイム美術館)

 20世紀を代表するスイス人彫刻家、アルベルト・ジャコメッティ(1901~1966)の大回顧展が、グッゲンハイム美術館で開催されている。

 ジャコメッティは20世紀前半のパリで活躍し、当時流行したキュビズムやシュルレアリスム、オセアニアの彫刻など、同時代における様々な動向を吸収しながら独自のスタイルを築いていった。パリのジャコメッティ財団とコラボレーションして開催されている本展では、第二次世界大戦前に制作されたわずか数センチの小作品から、ジャコメッティの代表シリーズとして知られる細長く引き伸ばされた人物像まで、約200点の作品と資料を展示。ジャコメッティの活動を一望することができる。

アルベルト・ジャコメッティ 女性の頭部(フローラ・メイヨー)
Head of a Woman (Flora Mayo) (Tête de femme [Flora Mayo]), 1926
Painted plaster, 31.2 Å~ 23.2 Å~ 8.4 cm
Fondation Giacometti, Paris
© 2018 Alberto Giacometti Estate/Licensed by VAGA and ARS,
New York
会場風景
Installation view: Giacometti, Solomon R. Guggneheim Museum, New York, June 8–September 12,
2018
Photo by David Heald
© Solomon R. Guggenheim Foundation, 2018

|Giacometti
会期:2018年6月8日〜2018年9月12日
会場:Solomon R. Guggenheim Museum
住所:1071 5TH AVE, NEW YORK, NYBETWEEN 88TH & 89TH ST.
電話番号:+1 212 423 3500
開館時間:10:30〜17:45(火 〜21:00、土 〜19:45) ※最終入場は閉館30分前まで
休館日:木
料金:一般 25ドル / 学生、65歳以上 18ドル / 12歳以下は無料

 

Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination (メトロポリタン美術館)

 メトロポリタン美術館が、年に一度のペースで開催している服飾部門の企画展シリーズ。今年は展覧会タイトルを「Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination」(=天国の身体:ファッションとカトリックのイマジネーション)と題し、カトリックの装飾文化と、それに影響を受けた20世紀以降のハイファッションを紹介している。

 キュレーションを務めるのは、映画『メット・ガラ ドレスをまとった美術館』で注目を集めた同館キュレーターのアンドリュー・ボルトンだ。ボルトンは「カトリックのイメージがデザイナーにどう影響を及ぼしたのか」を明示することを狙ったという。

 実際に教会で使用されてきた貴重な品物や、キリスト教をモチーフとしたアンサンブルやウェディングドレスが大胆に展示されている本展。美術館のコンテクストのなかで、ファッションと宗教美術がどう作用しあってきたのかを再考したい。 

展示風景
Gallery View, Cuxa Cloister. Image: © The Metropolitan Museum of Art
Reliquary cross, Italian, 14th–century, enamel, silver-gilt,coral, glass, rock-crystal, gold leaf;
The Metropolitan Museumof Art, Gift of J. Pierpoint Morgan, 1917(17.190.497)
Image © Metropolitan Museum of Art

|Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination
会期:2018年5月10日〜10月8日
会場:Metropolitan Museum of Art
住所:1000 Fifth Avenue New York, NY 10028
電話番号:+1 212 535 7710
開館時間:10:00〜17:30(金土〜21:00)料金:一般25ドル / 65歳以上 17ドル / 学生 12ドル / 12歳未満無料

 

Toward a ConcreteUtopia: Architecture inYugoslavia, 1948–1980 (ニューヨーク近代美術館)

 ユーゴスラビアのコンクリート建築を紹介する展覧会「Toward a Concrete Utopia: Architecture in Yugoslavia, 1948-1980」が、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催されている。

 「資本主義」と「社会主義」の相反する思想の間に位置するユーゴスラビア建築は、ヨーロッパなどほかの地域で見られる建築とは一線を画す。本展では、ユーゴスラビア建築の図面、模型、写真、映像といった、400点以上の資料が展示されている。その膨大な資料とともに、ユートピアを目指したユーゴスラビア建築の歴史をたどりたい。

|Toward a ConcreteUtopia: Architecture inYugoslavia, 1948–1980
会期:2018年7月20日〜2019年1月13日
会場:The Museum of Modern Art, Floor 3, Exhibition Galleries
住所:11 West 53 Street, Manhattan
電話番号:+1 212 708 9400
開館時間:10:30〜17:00(金〜20:00)
料金:一般 25ドル / 65歳以上 18ドル / 高校・大学生 14ドル / 16歳以下は無料

 

YASUMASA MORIMURA: EGO OBSCURA (ジャパン・ソサエティー)

 日本を代表する現代美術家・森村泰昌の個展「YASUMASA MORIMURA: EGO OBSCURA」が、10月からニューヨークのジャパン・ソサエティーで開催される。本展では、森村が30年以上にわたって取り組んできたセルフポートレートシリーズ「自画像の美術史」に加え、森村にとって初の試みである長編映像作品《Ego Symposion》もアメリカで初公開される。

 本作に登場するのは、森村が扮した自画像でよく知られる12名の巨匠と、そして森村自身を加えた計13人。10月13日の夜には、最新の劇場型パフォーマンス作品《にっぽん、チャチャチャ!》も行われる予定だ。

 これまで、様々な著名人や美術史上代表的なキャラクターに扮し、アートを通じて「歴史において、何が真実なのか」を問いつづけてきた森村。本展で見せる新しい試みは、鑑賞者にどのような作用をもたらすだろうか。

森村泰昌 Doublonnage(Marcel) 1988
Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York. © Yasumasa Morimura

|YASUMASA MORIMURA: EGO OBSCURA
会期:2018年10月12日〜2019年1月13日
会場:Japan Society Gallery
住所:333 East 47th Street New York, NY 10017
電話番号:+1 212 832 1155
開館時間:12:00~19:00(金 ~21:00、土日 11:00~17:00)
休館日:月、祝

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