宮島達男は、生と死、他者への関係性を、LEDのデジタルカウンターを使って数字という普遍的な記号の反復によって表現してきた。東京大学の池上高志教授の協力を得て制作した《IKEGAMI Model》(2012)では、生命体のような動きをする特殊なプログラミングと電子回路を構築し、ひとつの電子信号がまったく予測できない反応の連鎖を生み出すことによって、変化の絶え間ない生命体と、個と全体の関係性から考察する生命科学の視点を取り入れている。
本展では、2つの新作シリーズを発表。ステンレス製ケースのなかに配した《IKEGAMI Model》のデジタルカウンターと、それを結ぶ電子回路で構成され、赤や緑や青で数字がカウントし、「0(ゼロ)」を刻む一瞬のみ消灯する新作シリーズ「Life(Complex System)」を展示する。
また、香港のランドマークである超高層ビル世界貿易センター(ICC)のビルのファサードに投影した、数字の連なりが流れ落ちる光のインスタレーション《Time Waterfall》を発展させた、新作《Time Waterfall》(2017)も公開。3メートルの電光パネルの上方から下方に、大小さまざまの数字が不可逆的に異なるスピードで流れ落ちる作品となっている。
本展のほかに、宮島の大規模回顧展「Connect With Everything」がオーストラリアのシドニー現代美術館にて3月5日まで開催中。また、3月11日〜13日には、東日本大震災から消灯している六本木ヒルズけやき坂にあるパブリックアート作品《Counter Void》(2003)を期間限定で再点灯するイベント「Relight Days 2017」、4月以降は宮島の初写真作品を展示する個展「Counter Skin」(Akio Nagasawa Gallery、東京)や、個展「Counter Drawing」(CAPSULE、東京)も開催される。