21世紀の美術界を担う新進気鋭の日本画科を表彰する東山魁夷記念・日経日本画大賞。1999年に亡くなった東山魁夷が遺した功績を称えるとともに、これまで受け継がれてきた日本画の世界を後世に伝えること、日々研鑽を積んでいる日本画家の仕事を客観的に評価し、次代をリードする画家の発掘することを目的として2002年にスタートした。
選考は、日本中の美術館学芸員や大学教員らによる推薦委員が、満55歳以下の中堅〜若手作家による日本画を推薦。その作品をもとに、大原美術館館長の高階秀爾や美術評論家の島田康寛ら選考委員によって入選作品が決定、最終選考で大賞が決められる。
これまで、内田あぐりや岡村桂三郎、鴻池朋子といった錚々たる顔ぶれが大賞を受賞してきた同賞。第7回となる今回は、浅見貴子の《桜木影向図》(2015)が大賞を受賞した。推薦者は美術批評家の小勝禮子と、岡山県立美術館館長の守安收。守安は同作について「《桜木影向図》をこれまで浅見が取り組んできた独創的な『裏側から描く』水墨手法(歴史的にも世界で一人といってもよい)においても、精神性(水墨画の古典を学ぶことを通じて磨き上げられ、研ぎ澄まされてきた)面でも、ひとつの頂点をきわめた作品と認め、私はここに推薦する」と評価。
同賞選考委員長の高階は今回の入選作品に対して「従来の『日本画』の材料(紙、水、墨、顔料)と伝統(歴史、様式、技法上の)を受け継ぎながら、新しい表現領域の開拓に挑む作品が多く見られ、全体として現代日本画の持つ多彩で豊かな可能性を充分に感じさせる見応えのあるものとなった」と語っている。
同展には浅見のほか、荒井経、金子富之、谷保玲奈、中澤美和ら24名の入選作品が展示される。