東山魁夷(1908〜99)は東京美術学校日本画科を卒業後、結城素明に就き学び、戦中戦後の苦難の時代を経て、風景の美しさに開眼。風景画家として活動する決意を固める。簡潔な画面構成による表現で独自の自然観のもと、日本の四季や世界の自然、街角を抒情豊かに描き、その深い精神性をたたえる作品は多くの人を魅了してきた。
本展では、長野県信濃美術館東山魁夷館が所蔵する作品を中心に、「ヨーロッパ・北欧風景」、「京洛四季」、「白馬の見える風景」シリーズなど、初期から晩年までの作品を紹介する。また、スケッチや習作など、制作の様子を読み取れる資料をともに展示。合計80点の作品を通して、日本画壇に大きな足跡を残した魁夷の表現を概観する。