2018.5.12

新進アーティストの活動を応援する公募展。資生堂主催の第12回 「shiseido art egg」が開催

2006年にスタートした、公募展shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)。第12回入選者3名の個展の会期が発表された。会期は「冨安由真展」が18年6月8日~7月1日、「佐藤浩一展」が18年7月6日~7月29日、「宇多村英恵展 」が18年8月3日~8月26日。

宇多村英恵 When a line becomes a circle(線が円になるとき) 映像 2013
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 「shiseido art egg」(シセイドウアートエッグ)は、2006年にスタートした新進アーティストの活動を応援する、資生堂主催の公募展。入選者は資生堂ギャラリーで開催される通常の企画展と同様、担当キュレーター、専門スタッフと話し合いを重ね、共に展覧会をつくり上げる権利を得られる。

 第12回目となる18年度は、全国各地より350件の応募があり、全体の7割以上を20〜30代の若手が占めたという。伊藤俊治(東京藝術大学教授/資生堂ギャラリーアドバイザー)、光田由里(美術評論家/資生堂ギャラリーアドバイザー)、資生堂企業文化部の3者による審査のもと、入選を果たしたのは、冨安由真、佐藤浩一、宇多村英恵。この3名の入選者の個展が18年6月8日~8月26日にかけて、それぞれ開催される。

 冨安由真は1983年東京都出身。2012年ロンドン芸術大学修了後、17年東京藝術大学大学院にて博士号を取得。現在東京を拠点に活動している。日々の生活における現実と非現実の狭間をとらえることに関心を寄せてきたという冨安は、本展で複数の部屋からなる大型インスタレーションを制作。そこに足を踏み入れることで、図らずも自分自身の無意識の世界と出会うことができるかもしれない空間をつくりだす。

冨安由真  明滅する世界 The Place Where The Certainty Is Waning 北九州市立美術館 2018

 佐藤浩一は1990年東京都出身。2015年に東京藝術大学を卒業し、現在同大学院の修士課程に在籍している。佐藤は映像や音響を主なメディアとして用い、近年は、植物と人間との関係をモチーフとしながら、ジェンダーやポストヒューマンなどをキーワードとした連作を構想している。本展では、植物の生殖、造園、人間同士の交流をテーマに、映像、音響、立体、香りなどによるインスタレーションを展開する。

 また、宇多村英恵は1980年茨城県出身。2004年にロンドン大学ゴールドスミスカレッジ卒業、10年にロンドン芸術大学チェルシーカレッジ大学院を修了。現在はドイツと東京で活動を行っている。国や人種、異なる社会的立場を超え、個人と他者が対峙できる空間を生み出すことを目指し、映像やパフォーマンス、インスタレーションの作品を制作してきた宇多村。本展では、とくに身体性に重きをおいたインスタレーションを発表。パフォーマンスの経験を展示の中でどのように展開していくかという課題のもと、展覧会を鑑賞する観客がパフォーマーとして参加することを通して、展示作品としてのパフォーマンスの可能性を模索する。

宇多村英恵 Letter from Future Past(未来過去からの手紙) ライブ・パフォーマンス 2017

 なお、各個展が終了後、3名の審査員が3つの個展の中からshiseido art egg賞を選出。今年度の審査員は、美術家の流麻二果、写真家の畠山直哉、森岡書店代表の森岡督行の3名が務める。受賞者は18年9月中旬にウェブサイトにて発表される。