生まれ続ける戦後美術。
90歳を目前に控えた画家・池田龍雄が描く日本の美術と社会

前衛芸術、事件に基づくルポルタージュ絵画、宇宙の成り立ちがテーマの絵画など、多彩な作風を展開してきた池田龍雄。約70年におよぶ活動を振り返る展覧会が練馬区立美術館で開催される。会期は4月26日〜6月17日。

池田龍雄 巨人 1956 紙にインクほか 東京国立近代美術館蔵

 1928年に佐賀県伊万里市に生まれた池田龍雄は、43年海軍航空隊に入隊。45年、訓練中の敗戦をきっかけに故郷へ戻り師範学校に編入するが、軍国主義者の烙印を押され追放にあった。戦中から戦後にかけた大きな価値の転回と、国家権力に振り回され続けたこの体験が、池田の創作の原点を形づくった。

池田龍雄 楕円空間 1963-64 ミクストメディア、パネル ファーガス・マカフリー, ニューヨーク&東京蔵 

 48年、画家を目指して上京した池田は、岡本太郎や花田清輝らによる「アヴァンギャルド芸術研究会」に参加。以後、文学、演劇、映像とジャンル横断的に繰り広げられる戦後美術のなかで、多彩な芸術家や美術批評家と交わりながら、自らの制作活動を展開していった。

池田龍雄 未開地 1958 キャンバスに油彩 高松市美術館蔵

 練馬区立美術館では20年ぶりの池田の回顧展となる本展では、50年代から第一線で活躍し続ける池田の作品に息づく、戦後美術の現在形に迫る。

 90歳を目前に控えたいまもなお歩み続ける作家の画業は、時代と切り結び思考する苦闘の足跡であり、戦後から現在に至る日本の美術や社会のあり様を映し出すだろう。

編集部

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