ゆらぎとうねりを生む視覚のマジック。ブリジット・ライリーの展覧会が38年ぶりに開催

錯視の効果を利用した「オプ・アート」の旗手として知られるイギリスのアーティスト、ブリジット・ライリーの作品を紹介する「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画」展がDIC川村記念美術館で開催される。会期は4月14日〜8月26日。

ブリジット・ライリー 朝の歌 1975 キャンバスにアクリル 211×272cm DIC川村記念美術館 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London.

 幾何学的パターンによって画面に動きをもたらす抽象絵画で知られるイギリスのアーティスト、ブリジット・ライリー(1931〜)。ロンドンのゴールドスミス・カレッジとロイヤル・カレッジ・オブ・アーツに学んだライリーは、卒業後、教員や商業美術の仕事に就きながら作品を制作を続ける。初期作品はジョルジュ・スーラに影響を受けた風景画だったが、ルネサンス以降の巨匠や印象派の絵画、点描技法の研究を重ねて単純化・抽象化のプロセスを学び、独自の創作を深めていった。

ブリジット・ライリー 正方形の動き 1961 板にテンペラ 123.2×121.3cm アーツ・カウンシル、ロンドン © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London.
ブリジット・ライリー 波頭 1964 板に乳剤 166.5 x 166.5 cm ブリティッシュ・カウンシル、ロンドン © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London.

 そして1965年、白と黒のみを用いた抽象的な作品がニューヨーク近代美術館の歴史的な展覧会「レスポンシヴ・アイ (応答する眼)」で紹介され、「オプ・アート」の旗手として一躍注目の的に。67年には代表作となる波形のストライプパターンに色彩を導入した作品群を制作し、画面に大きなうねりや揺らぎを感じさせる独自の画風で、美術界における画家としての地位を確立した。以降、「色」と「かたち」の相互作用を駆使し、鑑賞者の眼に強く訴える作品を発表し続けている。

ブリジット・ライリー 賛歌 1973 キャンバスにアクリル 289.5×287.3cm 東京国立近代美術館 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London.

 日本での38年ぶりの展覧会となる本展では、60年代の代表的な黒と白の作品から、70年代を中心としたストライプ作品、90年代の曲線を用いた作品、そして近年のウォール・ペインティングまで、日本初公開の代表作を含む約30点を紹介。90年代から世界的に再評価が高まるライリー作品の魅力に改めて迫る。

ブリジット・ライリー ここから 1994 リネンに油彩 156.2×227.3cm 個人蔵 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London.
ブリジット・ライリー ラジャスタン 2012 壁に鉛筆、アクリル 228.6×426.7cm 個人蔵 © Bridget Riley 2018, all rights reserved. Courtesy David Zwirner, New York/ London.

編集部

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