19世紀末のヨーロッパで流行したアール・ヌーヴォー。自然の有機的な形態に着想源を得たこの芸術様式において、エミール・ガレ(1846〜1904)は、ガラス工芸の分野の第一人者として活躍した。
植物学、生物学、鉱物学といった博物学的な知識を活かして作品を制作したガレ。植物や昆虫、海の生物をモチーフとして採用したガレの活動は、自然の蒐集家になぞらえることができる。本展では、作家の芸術を初期から晩年までたどりながら、インスピレーションの源であった「自然」を、「森」と「海」のふたつの視点から紹介する。
ガレの展覧会をポーラ美術館で開催するのは今回が初めて。会場では、全国の美術館から集めたおよそ70点と、コレクションから厳選した60点の合計約130点を展示するほか、モネ《睡蓮》などの絵画を併せて展覧し、当時の芸術運動や時代背景を考察する。
本展のみどころのひとつとなるのが、ガレが「海」を主題に制作した作品群。海洋学が大きく進歩した当時、ガレは、美術では取り上げられることが少なかったヒトデやタツノオトシゴなどのモチーフに注目。海の生き物とアール・ヌーヴォーの曲線美が呼応した作品を生み出した。
さらに本展では、「ガラスでできた植物図鑑」のような作品を堪能できるイベントも予定。多彩な講師を招いた講演会で、普段の美術館とは一味違った体験ができるだろう。
なお、展覧会公式サイトは2月中旬公開予定となっている。