レオナルド・ダ・ヴィンチの「幻の作品」が15日、ニューヨークのクリスティーズで4億5031万2500ドル(約508億円)で落札された。これはオークション史上、世界最高記録となる。
今回落札されたレオナルド・ダ・ヴィンチの《サルバトール・ムンディ》は、イエス・キリストを描いた肖像画。タイトルの「サルバトール・ムンディ」は「救世主」を意味している。描かれたのは1500年頃。縦65.5×横45.1センチメートルの同作は、青いローブをまとったキリストが右手で天を指さし、左手に水晶を持っている構図。
ダ・ヴィンチの絵画作品において、この《サルバトール・ムンディ》以外はすべて美術館・博物館が所蔵しているため、同作は、個人が所有する最後のダ・ヴィンチ作品と言われてきた。50年に及ぶ行方不明期間の後、2005年にアメリカのオークションで発見。様々な調査を経た後、11年にナショナル・ギャラリー(ロンドン)で展示された。その後、13年にはロシアのコレクターによって1億2750万ドル(現在の価値で約145億円)で落札されて以降、公の場では展示されてこなかった。
同作を巡っては、プレビュー時から大きな話題を集めており、『ニューヨーク・タイムズ』紙は香港やロンドン、そしてニューヨークでプレビューに訪れた人数を2万7000人と報道。これは、単独作品の閲覧人数としてクリスティーズ史上最高だったという。
当初、予想落札価格は1億ドル(約113億円)とされてきたが、落札価格の508億円はこれを大幅に上回るものとなった。