2017年はこれをチェック!
5つの注目展覧会

いよいよ2017年の幕が開けた。昨年は東京都美術館で開催された「若冲展」が大きな話題をさらったが、今年も各美術館では注目の展覧会が目白押しだ。そのなかから編集部がセレクトした、特に注目したい展覧会を会期順で5つご紹介する。

草間彌生 文化勲章受章記者発表会にて撮影(2016年10月)

全世界で150万人を動員した巨大展覧会がついに日本上陸 「DAVID BOWIE is」(寺田倉庫)

「ショウ・モーメント」の展示風景 ©Eikon / G.Perticoni

2016年は多くのミュージシャンがこの世を去ったが、デヴィッド・ボウイもその一人だ。「20 世紀で最も影響力のあるアーティスト」、デヴィッド・ボウイ。2017年は、その生涯を回顧する展覧会が、日本にやってくる。寺田倉庫の特設会場で開催される「DAVID BOWIE is」は、2013年に英国・ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(以下V&A)でスタートし、これまで世界9か国を巡回。ボウイの50年にわたるクリエイティビティを、貴重な展示品のみならず"音と映像"でも体感できる画期的な展覧会として約150万人を動員している。

アジア初開催となる本展では、V&Aの監修により、親日家としても知られるデヴィッド・ボウイのアーカイヴから集められた、300点以上におよぶ重要かつ貴重な品々が、音楽と映像による演出効果を用いてファッション、音楽、デザイン、演劇、アート、フィルムのカテゴリーに分けて展示。入場者には一人ひとりに専用のヘッドフォンが渡され、各セクションの内容とシンクロさせた楽曲やインタヴュー音源を聴きながら、展示を見て、目と耳でボウイの世界に完全に没入できるようになっている。

DAVID BOWIE is

会期:2017年1月8日~4月9日

会場:寺田倉庫G1ビル

住所:東京都品川区東品川2-6-10

開館時間:10:00~20:00(金曜〜21:00)

休館日:月

入館料:一般 2200円(2400円) / 中高生 1000円(1200円) 中学生以下無料

( )内は当日券料金。入場日時指定制のチケットで入場日時枠は各日[10:00~12:00] [12:00~14:00] [14:00~16:00] [16:00~18:00] [18:00~19:00 *毎週金曜日は18:00~20:00]。

※当日入場券は各日入場枠に残数がある場合のみ発売予定。

http://t.pia.jp/feature/event/davidbowieis

"現代の肖像画家" 日本初の美術館個展 「エリザベス・ペイトン展:Still life 静/生」(原美術館)

エリザベス・ペイトン Kurt Sleeping 1995 板に油彩 27.9×35.6cm Private Collection, New York ©Elizabeth Peyton, courtesy Sadie Coles HQ, London;Gladstone Gallery, New York and Brussels; neugerriemschneider, Berlin

「肖像画」はいまなおアップデートされている。それを実感させてくれるのが、ユース・カルチャーの象徴的存在の肖像画で注目を集め、近年では風景や静物、オペラからもインスピレーションを得るなどその表現を一層深めている、アメリカの女性作家、エリザベス・ペイトンだ。現在ニューヨークを拠点に活動するペイトンは、1990年代初めより絵画や素描、版画を中心に制作をし、ミュージシャンや歴史上の人物、あるいは親しい友人や愛犬の肖像画を描いてきた。キャンバスの大きさは控えだが、大胆な色彩や繊細な線描写によって、対象の美しさを際立たせ魅力的な存在に変貌させることから、ペイトンの絵画は"新しい具象画"と称されてきた。

2009年から2010年にかけ、各地を巡回した「Live Forever」展(ウォーカー アート センター、ニューミュージアム、ホワイトチャペルアー トギャラリー、ボネファンテン美術館)などをはじめ、日本では、95年にGallery Side 2で個展を開催。また06年には「エッセンシャル・ペインティング」展(国立国際美術館)に参加。2017年にはローマ フランス アカデミー「ヴィラ メディチ」にて個展を予定するなど、幾多の個展やグループ展に参加し、国際的に高い評価を得ている。日本の美術館初の個展となる本展では、日本では紹介される機会の少なかったペイトンの25年の画業を約40点から一望することができる。

エリザベス・ペイトン展:Still life 静/生

会期:2017年1月21日~5月7日

会場:原美術館

住所:東京都品川区北品川4-7-25

電話番号:03-3445-0651(代)

開館時間:11:00~17:00(祝日を除く水曜日は20:00まで、入館は閉館時間の30分前まで)

休館日:月休(3月20日は開館)、3月21日

入館料:一般 1100円 / 大高生 700円 / 小中生 500円 / 原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生は入館無料

http://www.haramuseum.or.jp/

その規模、過去最大級 「草間彌生 わが永遠の魂」(国立新美術館)

草間彌生 「わが永遠の魂」シリーズより《原爆の足跡》 194×194cm 2016 ©YAYOI KUSAMA

2016年4月には『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」に日本人として唯一選ばれ、10月には文化勲章を受章。87歳にして、今なお精力的に作品を制作し続ける草間彌生が、国立新美術館で過去最大級の個展「草間彌生 わが永遠の魂」を開催する。

本展は第1部「21世紀の草間彌生」と第2部「20世紀の草間彌生」の2部で構成され、第1部では近作から最新作までの約150点が展示。第2部では、初期から90年代までの90点が紹介される。なかでも展覧会の核となるのが、草間が2009年から取り組んでいる大型の絵画シリーズで、本展のタイトルにもなっている「わが永遠の魂」だ。会場では、そのなかから厳選された約130点を一挙に公開。全作品が日本初公開(世界初公開含む)という貴重な機会となる。

草間彌生 わが永遠の魂

会期:2017年2月22日~5月22日

会場:国立新美術館

住所:東京都港区六本木7-22-2

電話番号:03-5777-8600

開館時間:10:00~18:00(金曜・4月29日~5月7日 〜20:00)

休館日:火休、5月2日開館

入館料:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円

http://kusama2017.jp/

あの《スラヴ叙事詩》全20作が初来日 「ミュシャ展」(国立新美術館)

アルフォンス・ミュシャ スラヴ叙事詩「原故郷のスラヴ民族」 1912 プラハ市立美術館 ©Prague City Gallery

アルファンス・ミュシャといえば、女優サラ・ベルナール主演の舞台『ジスモンダ』のポスターをはじめとする、優美で装飾的な作品をイメージする人が多いだろう。しかしその一方で、故郷チェコや自身のルーツであるスラヴ民族のアイデンティティをテーマにした作品も数多く描いている。その集大成が、晩年の17年間を捧げた渾身の作品《スラヴ叙事詩》(1911〜1928)だ。

約縦6メートル、横8メートルに及ぶ巨大なカンヴァスに描かれた20点の油彩画は、古代から近代に至るスラヴ民族の苦難と栄光の歴史を映し出す壮大なスペクタクル。本展はこの《スラヴ叙事詩》をチェコ国外では世界で初めて、全20点まとめて公開するもの。ミュシャが《スラヴ叙事詩》を描くに至るまでの足跡を、約100点の作品を通じてたどりながら、ミュシャの最高傑作を一挙公開する。

国立新美術館開館10周年・チェコ文化年事業ミュシャ展

会期:2017年3月8日~6月5日

会場:国立新美術館 企画展示室2E

住所:東京都港区六本木7-22-2

電話番号:03-5777-8600

開館時間:10:00~18:00(金曜〜20:00)

休館日:火休

入館料:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円

http://www.mucha2017.jp/

視覚の魔術師、東京で初の美術館個展 「レアンドロ・エルリッヒ展(仮)」(森美術館)

レアンドロ・エルリッヒ スイミング・プール 2004 コンクリート、ガラス、水 280×402×697cm

撮影=Ryo Suzuki 所蔵=金沢21世紀美術館

金沢21世紀美術館に恒久設置されている《スイミング・プール》(2004)によって、日本では一躍有名になったアルゼンチン出身のアーティスト、レアンドロ・エルリッヒが、ついに東京で初の美術館個展を開催する。

視覚を中心に、身体感覚に訴えかけるトリックを用いて、鑑賞者が抱く常識を覆すような体験を与えるものが多くみられるエルリッヒの作品。詳細はまだ発表されていないが、本展はその24年にわたる活動の全容に迫るものとなる。

レアンドロ・エルリッヒ展(仮)

会期:2017年11月18日~2018年4月1日

会場:森美術館

住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ 森タワー53階

http://www.mori.art.museum/jp/index.html

いかがだっただろうか。美術館の展覧会はまだ情報が明らかになっていないものも多数あるので、随時お気に入りの美術館の情報をチェックしてほしい。

編集部

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