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保坂健二朗が語るアール・ブリュットの現在地──国内外におけるコレクションの形成、マーケット、そして役割と可能性について

ポンピドゥー・センターのabcdコレクションより。アール・ブリュットの世界ではもっとも有名な作家のひとりであるマッジ・ギル(1882〜1961)の、幅274センチメートルにも及ぶ大作。2023年10月撮影
ポンピドゥーの4階には、アール・ブリュットの命名者であるジャン・デュビュッフェのインスタレーション《冬の庭》が常設されている。その入り口の向かいの展示室も、アール・ブリュット作品を展示する場として用いられている。2023年10月撮影
ポンピドゥーは、展示室と展示室のあいだに生まれる通路的な空間を、資料系の展示などに上手く使う。美術史の外部に位置するアール・ブリュットにとっては、ある意味ふさわしい空間とも言える。これは5階で、右に澤田真一の作品群が見える。2023年10月撮影
マッジ・ギルによる本作もドゥシャルムによる寄贈。言い換えれば、寄贈されるまで、どれほど有名であっても、アール・ブリュットの作家は収集されてこなかったということにもなる。2023年10月撮影
ポンピドゥーが所蔵する与那覇俊(1979〜)の大作《Gaikotsu Story’s》(2016)。沖縄生まれ、在住の与那覇の作品は、沖縄県最大の公募展である沖展をはじめ、ポコラート全国公募や岡本太郎現代芸術賞でも入選している。2025年2月撮影
2023年、ロンドンのフリーズ・マスターズのスポットライトにジュディス・スコットが選ばれた(ギャラリーは、The Gallery of Everything)。スコットは、2014年にブルックリン美術館で個展が開催されるなど、アメリカ合衆国では極めて評価が高い
Paris+ par Art Basel 2023では、パリにあるアール・ブリュット専門のギャラリー、Christian Berstがアンナ・ゼマンコヴァを個展形式でとりあげた。展示品は初日にしてすでにほぼ完売、ストックから出しつつの対応
アジアで「生の芸術」を紹介した事例として、2025年のソウル・メディアシティ・ビエンナーレを取り上げる。テーマは「Séance: Technology of the Spirit(交霊会:精霊のテクノロジー)」。ナム・ジュン・パイク(1932〜2006)の作品の奥に見える幾何学的なドローイングはスイスのヒーラーのエンマ・クンツ(1892〜1963)。左のケースに並んだ茶碗は、大本教の教祖の一人である出口王仁三郎(1871〜1948)
ジョージアナ・ホートン(1814〜84)は英国の霊媒師にしてアーティスト。カンディンスキー(1866〜1944)に並んで抽象画のもうひとりの先駆者として再評価を集めているヒルマ・アフ・クリント(1862〜1944)よりもさらに上の世代に属する。2016年にロンドンのコートールド美術館で回顧展が開催された
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編集部