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マーケットの重鎮の回顧録から現代美術マーケットを俯瞰する1冊まで。アートマーケットの基本を知るための本5選

コマーシャルギャラリー、オークション、アートディーラー、そしてアーティスト。様々なプレイヤーが入り乱れて構成されるアートマーケットの基本を知るための5冊を、アートコンサルタントの塚田萌菜美がセレクトした。

文=塚田萌菜美

読む時間がない? ならばまずはこの1冊

マイケル・フィンドレー『アートの価値 マネー、パワー、ビューティー』

 冒頭から企画潰しのようで恐縮だが、こちらは読書が苦手な人や、不景気におけるアートマーケット事情を知りたい人におすすめの、不朽の名著。ニューヨークのアートディーラー出身で、後にオークション会社へ就職、さらに転職しギャラリー運営に携わるという、半世紀にわたって余すことなくマーケットを闊歩してきた重鎮による、リーマンショック直後に出版された回顧録兼教科書のような一冊。世界中のマーケットをいまだに牛耳る欧米マーケットのプレイヤーや動き方、不文律が描写されており、とくにリーマンショック後の不景気時代のリアリティは、淘汰の気配に満ちた現在に多大なる示唆を与えてくれるだろう。文体は口語体で、たっぷりのウィットとブラックユーモアが添えられているので非常に読みやすいはずだ。

マイケル・フィンドレー=著 バンタ千枝、長瀬まみ=訳
美術出版社 2300円+税

ジャーナリストの視点で、マーケットを知る

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