NY、3つの巨大アートフェアから見えた新たな潮流

ニューヨークを代表するアートフェアである「インディペンデント」「TEFAFニューヨーク」「フリーズ・ニューヨーク」。コロナ終息宣言を経たニューヨークのアート・フェアでは一体何が起こっているのか? その近況を、3つのフェアから読み解く。

文=國上直子

フリーズ・ニューヨーク2023より、ケーシー・カプランのブースPhoto by Casey Kelbaugh. Courtesy CKA and Frieze.

春のメインイベントは「フリーズ・ニューヨーク」に

 ニューヨークでは、3月に「アーモリー・ショー」、5月に「フリーズ・ニューヨーク」と「TEFAFニューヨーク」が開催されるのが春の恒例であった。とくに「アーモリー・ショー」の会期中には、多くのサテライトフェアが同時開催され、市内は賑わっていた。また国内外から集まるコレクターに向けて、ギャラリーは店舗での展示にも力を入れ、オークションハウスは大型セールを組むため、ニューヨークのアートシーンが1年のなかでもっとも盛り上がるのがこの時期であった。

 しかしコロナ禍によって、このサイクルも変貌を遂げた。春の中心的イベントだった「アーモリー・ショー」が、2021年から開催を9月に変更したことで、同フェアに準じスケジュールを調整するサテライトフェアもあったが、多くは「フリーズ・ニューヨーク」に会期を合わせるようになった。

 いっぽう、「フリーズ・ニューヨーク」は、2021年より会場をランドール・アイランドからハドソン・ヤードの文化施設「The Shed」に移している。駅やショッピングモールに隣接しつつ、観光名所の「ハイライン」と直結し、チェルシーのギャラリーやホイットニー美術館まで徒歩で行くこともできる便利な会場に移ったことで、「アクセスしにくいフェア」というこれまでの悪評を一掃した。

 2022年には、20を越えるフェア・美術館・オークションハウスなどが共同し「New York Art Week」というイニシアチブを立ち上げ、5月のニューヨークを一丸となって盛り上げようという動きが生まれている。そして今年は、これまで「アーモリー・ショー」に会期を合わせていた「クリオ・アートフェア」と「スプリング/ブレイク」も開催を5月に変更したことで、春の目玉は「フリーズ・ニューヨーク」という構図がより明確になった。

 パンデミックはアート・マーケットのトレンドにも影響をもたらした。株価・不動産市場の下降により、コレクターは美術品の購入に慎重になっていると言われている。コロナ終息宣言を経たニューヨークのアート・フェアの近況を、5月に開催された「インディペンデント」「TEFAFニューヨーク」「フリーズ・ニューヨーク」の3つのフェアから読み取っていきたい。

有色人作家の数が半数近く占める「インディペンデント」

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