アジア最大級のアートフェア、 アート・バーゼル香港2017がいよいよ開幕! 今年の見どころは?
3月23日から3日間にわたり開催されるアジア最大のアーフェア「アート・バーゼル香港」。今年で5年目を迎える同フェアには新たなセクション「キャビネット」が加わり、より幅広い作品が紹介される。
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アートHKから香港国際アートフェアの開催を引き継いで、今年で5年目を迎えるアート・バーゼル香港。アジア最大級のアートフェアでは、34の国や地域から242のギャラリーと3500人を超えるアーティストが香港コンベンション&エキシビション・センターに集結する。開催第1回では2万人だった来場者も、2016年には7万人を超えた。日本からの参加ギャラリーも年々増えていて、今年は23軒の出展を予定している。
アートバーゼル香港は現代美術の「今」を体現するイベント。アジアのアートシーンの勢いを反映し、さらには加速させる。特に、25のギャラリーが個展や2人展を企画する「ディスカバリーズ」部門では、輝く次世代のアーティストにスポットをあてる。また、BMWアートジャーニーを受賞した立体写真家のアビゲイル・レイノルズが中国、ウズベキスタン、トルコ、イラン、イタリア、エジプトをめぐる旅のなかで、戦争や自然災害によってなくなった図書館を描いた作品「時間の旧跡:失われたシルクロードの図書館」も発表される予定だ。
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「いま」を生きるアーティストは現代社会の波を作品に反映せざるをえない。そのため、アート・バーゼル香港はその政治性や社会性でも注目を浴びている。それと同時に、「特定のテーマがあるビエンナーレと違い、多くのアーティストが参加するアート・バーゼルでは、社会におけるアーティスト自身の存在からそれぞれのテーマが自然と生まれる」とアート・バーゼルのグローバル・ディレクター、マーク・シュピーグラーは語る。その言葉通り、何千人もの異なるアーティストたちの表現をひとくくりにすることはできない。
また、2005年にアート・バーゼル・マイアミビーチではじまった「キャビネット」部門が、今年はじめて香港でも開催される。「キャビネット」は時間を引き延ばすための試みで、歴史的または学術的な視点から現代美術を考える機会を提供する。このプログラムで特別に選ばれたギャラリーは、それぞれのブースで小さな企画展としてアーカイブやリサーチ資料を発表するのだ。特定のアートシーンやアート運動の裏側にある物語を紹介し、一般客だけでなくコレクターにも作品の背景やその価値を伝える。来場者はアートの視野を広げたり、前の時代にも目を向けることができる。このようにアートバーゼル香港は教育にもコミットし、「サロン」や「カンバセーション」といったトークイベント企画もあわせて実施し、アートに関する知識を広めている。
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アート・バーゼル香港は、会場以外にも活動の場を広げ、都市空間のさまざまな場所でアート作品を発表している。香港でもっとも高いビル、ICCタワーとのコラボレーションでは、建物の巨大な外壁をスクリーンとして使用し、これまでカールステン・ニコライ、曹斐(ツァオ・フェイ)、宮島達男といったアーティストの作品を投影し、発表してきた。また過去には、アントニー・ゴームリーの「イベント・ホライズン」や、ショッピングモールや広場を、遊牧民のように活かし展示を行う「モバイルM+」といったパブリックアート企画ともコラボレーションを行っている。
香港の新たな美術館、M+も現在建設中であるにもかかわらず、都市空間でオフサイト・プロジェクトを発表し続けている。今年は「Ambiguously Yours: ジェンダーと香港の公衆文化」展を開催し、90作品を展示する予定だ。この展覧会ではレスリー・チャン、デニス・ホー、アンソニー・ウォンといったアーティストを通して、1980年代から現在までの香港におけるジェンダーの流動的、両性的な表現について探る。
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アートフェアの来場者が会場から出て、香港各所で行われている展示に足をのばす。同時に、キュレーターやコレクター、そして評論家も香港のアーティストのスタジオをまわる。こうして良い循環ができると、地元のアーティストや若手ギャラリーにも活躍する機会を与えることができる。アート・バーゼル香港がさらなる展開を目指すなかで、香港をはじめとしてアジア地域で活動しているアーティストやアートスペースも成長することができるのだ。
白い壁に囲まれたブースのなかでも、混んでいる街なかでも、今年もアートバーゼル香港は来場者を楽しませてくれるだろう。
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