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なぜ「所在不明文化財」は生まれるのか? その原因を追う

国や都道府県が文化財に指定していながら、その所在がわからなくなっている美術工芸品、いわゆる「所在不明文化財」が全国に多数確認されている。なぜ、文化財は所在不明になってしまったのか? 所在不明な文化財はどのように見つけるのか? 文化庁の担当者に話を聞いた。

文=浦島茂世

文化庁文化財部美術学芸課編『国宝・重要文化財(美術工芸品)の所有者のための手引き』(2017)より。現在は担当部署名が文化庁文化財第一課と改められ、当該冊子の最新版も鋭意製作中だという

「所在不明文化財」とは?

 所在不明文化財とは、文化庁による所在調査において「所有者が転居し,所有者も現物も確認できなかった文化財」、「所有者の死亡や,法人の解散等により,所在が確認できなかった文化財」、「盗難されて未発見の文化財(盗難届提出済み)」のことを指している。 

 2022年6月時点の所在不明の文化財は、国宝・重要文化財1万524件(2014年の指定件数)に対し、所在不明が140件。追加で確認が必要な(「所在不明とまでは断言できないが、所在場所についての確証が得られない」、「現所有者は明らかになっているが、連絡が付かない」、「所有者と連絡を取ることができるが、当該文化財の現物確認ができておらず、所在が明らかと言い切れない」)ものが49件。全体から見ると、重要文化財のうち1.3パーセントが所在不明と位置づけられている。

 文化庁文化財第一課の文化財調査官である田中健一は、この1.3パーセントの文化財が所在不明である状態を「少なくない件数であると認識しています」と語った。所在不明文化財は大きな問題となっているのだ。

調査のきっかけは全国で相次いだ盗難事件

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