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ICOM(国際博物館会議)の意義とは何か? いま、あらためて京都大会を振り返る【2/2ページ】

*1──ここで言う「博物館」とは、歴史系や自然系の博物館だけでなく、美術系も含めた有形無形のあらゆる資料を扱う博物館(ミュージアム)を指す。なお国内法でも、美術館も「博物館」の一種で、そこには動物園や植物園も含まれる。ただしICOMでは生きた動植物を展示する館は博物館とは扱われない。
*2──京都大会で新たに2つの国際委員会(博物館防災国際委員会 International Committee on Disaster Resilient Museumsと倫理的ジレンマの国際委員会[筆者仮訳]International Committee on Ethical Dilemmas)が設立され、現在は32の国際委員会となった。
*3──例えば国際美術館会議CIMAMは、もともとICOMの一国際委員会であったが、2015年にICOMの国際委員会から脱退した。現在は独立した組織として活動し、ICOMには加盟機関のひとつとして名を連ねている。
*4──2010年の上海大会のレガシーとして、2013年、北京の故宮博物院の中にICOM-ITC(International Training Centre for Museum Studies)が設立され、年に2度、春と秋に、45歳以下の会員を対象とした10日程度の集中的なワークショップを、毎回さまざまなテーマを据えて開催している。
*5──当時、ウェブサイトにはフランス語、スペイン語読みで「イコム日本委員会」と掲げられていたが、その後「ICOM日本委員会」となった。読み方は結局のところどちらでも良いとされたが、本大会にあたっては、メディアに対しては「アイコム」で統一された。
*6──なお、教育と文化活動の委員会CECAは、筆者の勤める和歌山を訪問し、県内の博物館教育活動を視察した。この成果を広く引き継ぎたいと思い、和歌山県立近代美術館、和歌山県立博物館、和歌山県立紀伊風土記の丘、和歌山県立自然博物館とその所管である県教育委員会文化遺産課、そして和歌山市立博物館も加わって『まもってそだてる 和歌山県の博物館教育』と題した冊子を発行したので、あわせて紹介したい。
*7──各委員会が提出できるのは「提言 Recommendations」で、それをResolutions Committeeが修正し、「決議案 Draft resolutions」として通常総会にかけられる。採択されたものが「大会決議 Resolutions」となる。
*8──規約自体の改正は2017年にも行われているが、その他の条項の修正であり、第3条第1項の書き換えは2007年以来行われていない。その修正も、1974年の定義から大きく変わってはおらず、現行定義には1974年の考え方が生きていと言える。
*9──ICOM日本委員会訳
*10──提言の英文と仮日本語訳は、ICOM日本委員会のウェブサイトで公開されている。(原文)/(仮訳
*11──原文は以下の通り。Museums are democratizing, inclusive and polyphonic spaces for critical dialogue about the pasts and the futures. Acknowledging and addressing the conflicts and challenges of the present, they hold artifacts and specimens in trust for society, safeguard diverse memories for future generations and guarantee equal rights and equal access to heritage for all people. / Museums are not for profit. They are participatory and transparent, and work in active partnership with and for diverse communities to collect, preserve, research, interpret, exhibit, and enhance understandings of the world, aiming to contribute to human dignity and social justice, global equality and planetary wellbeing.
*12──「アメリカ」という名前が、アメリカ合衆国を限定的に指すわけではないため、こう呼ぶのは本来正しくはない。正式にはICOM-USであるが、ここでは日本語としてのわかりやすさを優先した。
*13──定義改正の仕切り直しにあたって、今年2020年6月の総会で改正までのプロセスがMDPP 2(MDPP第2期)によって示され、2021年6月の総会で改めて採択を目指すという流れが、昨年末に示された。各委員会ではすでに、議論が始まっている。

訂正:本文1文目「世界141の国と地域から」は京都大会参加者に関する数ではなく、ICOM加盟会員の国籍数であり、正しくは「世界120の国と地域から」でした。

編集部

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